日米地位協定の改定は、石破がいう〝激変する安全保障環境から日本を守り抜く〟ためにまず取り組むべき中核的課題だったのではないのか。
日米合同委員会——そのいびつな構成日米合同委員会は日米地位協定の25条に従い、両国間の正式な協議機関として設立されている。政治家は参加せず日本の官僚のトップと在日米軍のトップがカウンターパートナーとして月2回、協議を実施することになっている。過去60年あまり、1600回以上の会合があったという。
官僚のトップは外務省の北米局長であり、かたや在日米軍のトップは在日米軍司令部服司令官である。いずれも外務省のトップでも在日米軍のトップでもないものが合同委員会の〝トップ〟なのである。奇妙というほかない。
奇妙なことはまだある、日本側は職業軍人ではない文民だが、米国側はバリバリの職業軍人である。非対称というかいびつ極まりない。
また、政治家でもないものども、つまり国民の選挙によって選ばれていないものどもが、このような国家の主権に深く関わる事項の決定権を握っているというのは、さらに歪であり、摩訶不思議という他ない。
ゲル首相のオトシマエ日米地位協定、日本国民の約8割がその改定を望んでいるという調査結果もある。しかし石破にとっては、国民を喜ばす甘言の一つにすぎなかったのか。
所信表明演説では、故渡辺美智雄元副総理の言葉「政治家の仕事は勇気と真心を持って、真実を語ることだ」を引用した。自民党が派閥裏金事件などで失った国民の信頼回復を目指すと訴えたかったのであろう。議場のヤジはこの時最高潮、石破が何を言っているのか聞き取れない。
官邸という城にいて、周りを重鎮・同士・SPに囲まれているうちはいいが、兜を脱いだ時このオトコはどのツラ下げて国民と相対峙し落とし前をつけるつもりなのか。