「誰だって死にたくはない。天国行きを願う者だって、そこにたどり着くために死ぬのは嫌なんだ」
スタンフォード大学の卒業式辞で、ジョーク混じりに語ったのは故スティーブ・ジョブスだ。彼の名言にうなずく人は多いだろう。誰でも怖いのだ、死ぬのが。しかし、「死の恐怖」を解明し、それを克服する方法があるとしたら――あなたの寄る辺ない不安は少しだけ、解消されるかもしれない。
■死の恐怖の本質とは?
作家であり公認ヒプノセラピスト(催眠療法士)でもあるディプティ・テイト氏の書籍『Planet Grief: Redefining Grief for the Real World(嘆きの惑星:深い悲しみを現実世界で再定義してみる)』は、死に対する恐怖の真髄を解き明かし、より良く生きるためのヒントに溢れている。
著者は23歳の時に父を、37歳の時に母をがんで亡くしている。
「私は一人っ子だったので、両親を失った時は信じられないくらいの喪失感に襲われました。それがある時、突然ひらめいたんです。『私、まだここにいる。こんなひどい状況なのに生き抜いて。これは自分の人生を思い通りに生きるための重要なレッスンに違いない』って、気づかされたんです」(テイト氏)
以来、彼女は「死」そのものを探求するようになった。そして研究を重ねるうち、ある結論に達したという。「死の恐怖の本質とは、ある日突然、自分がこの世から存在しなくなることへの違和感」ではないかと。
同書は、こうして明かされた心のメカニズムに対し、それをどうやって解放するかも指南している。
「恐怖を押し殺したり、存在しないふりをするのではなく、受け入れることが大切なんです」(テイト氏)
つまり、心の有り様に委ねるマインドフルネスが有効と説く。
「私たちがすべきことは、この瞬間に立ち返ることです。死や存在しないことへの恐怖は、現在の現実ではありません。もしそれが現在の現実であれば、私たちはそれを恐れず、ただそれに対処しているはずですから。“たった今”に軸足を戻せれば、現実をポジティブなものへと変容させるパワーになるのです」(テイト氏)
催眠療法を用いて、人々の恐怖心を和らげることを天職とするテイト氏ならではの言葉といえる。
マインドフルネスのやり方はたくさんのアプリや動画があるので、ここでは割愛するが、コロナ禍以降、世界中で実践する人たちが増えているという。マインドフルネスの基本理念は、思い上がらない、他人と比べない、自己と他者への慈しみなど、当たり前過ぎて拍子抜けするほどだ。逆に言えば、それくらい“謙虚になる必要がある人たち”が今の世の中には溢れているということだろう。
ある意味、マインドフルに生きるということは、人生最後の日を恐れることなく、人生最良の日として迎えるための心のエクササイズと言えないだろうか。
文=佐藤Kay
提供元・TOCANA
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