異常気象の原因はインドネシアの火山噴火

 この異常気象の原因は、1年前のインドネシア、スンバワ島に遡る。1815年4月5日、成層火山であるタンボラ山が大噴火を起こしたのだ。

1816年、世界は「夏のない年」を経験した
(画像=1815年の大噴火で形成されたタンボラ山のカルデラ Jialiang Gao (peace-on-earth.org) – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる,『TOCANA』より 引用)

 火山の噴火によって放出された火山灰は成層圏に到達することがあり、一時的に太陽光を遮ることで地球の気候に数週間から数ヶ月間影響を与えることがある。ただし、火山灰自体は成層圏に長期間留まることはできない。一方、噴出された二酸化硫黄(SO₂)は成層圏で水と結びついて硫酸エアロゾルを形成し、これが太陽光を反射することで地球の気温が低下する現象が見られる。この硫酸エアロゾルは成層圏に数ヶ月から数年にわたって留まり、より長期間にわたり地球規模での冷却効果をもたらすことがある。

 タンボラ山の噴火は、記録に残る限り最も強力な噴火であったため、1816年の異常気象は、この噴火が原因であると疑われていた。しかし、その影響の程度は完全には解明されていなかった。

 2019年、地球科学者のアンドリュー・シューラー博士らは、気候モデルを用いて、タンボラ山の噴火がなかった場合の1816年の気候をシミュレートした。その結果、ヨーロッパでは例年よりも雨が多かった可能性はあるものの、気温がここまで低くなったのは噴火の影響であることが示唆されたのだ。

 シューラー博士は声明の中で、「気候モデルに火山噴火の影響を含めることで、気温の低下を説明することができます。私たちの推定では、噴火によって極端な低温が発生する可能性が最大100倍も高まりました。火山噴火がなければ、ここまで雨が多く、気温が低くなることはなかったでしょう」と述べている。

 日本ではこの年、大きな飢饉などは発生しなかったが、全国的には冷夏が記録され、暴風雨と洪水が頻発、農作物も不作となったようだ。

 1816年は、地球と人類にとって、決して楽しい年ではなかったかもしれない。

提供元・TOCANA

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