ピラミッドパワーというものを聞いたことがあるだろうか。ピラミッドあるいはその形状の物体には神秘的な力が宿っていると言われている現象だ。1930年にフランス人のアントワーヌ・ボビーという人物が、ピラミッドの中で最も巨大なギザの大ピラミッド(クフ王のピラミッド)を見学した際、ネズミなどの小動物の死骸が腐敗せずミイラ化していることに気が付いた。これをきっかけとして、ピラミッドには不思議な力があると言われるようになったが、実はそのピラミッドパワーを思わせる話が、これより以前に存在していたのだ。 時は1798年。ナポレオン・ボナパルトが3万5000人の大軍を率いてエジプトに上陸した。このエジプト遠征の目的は、当時地中海貿易を支配していたイギリス勢力を脅かすことであった。イギリスの植民地であったインドとの中継地点であるエジプトを制圧し、ルートを断ち切るという目論見だったのだ。この時彼は、巨大ピラミッドの中で一夜を過ごすこととなったのだが、その際「私が出てくるまでは誰一人としてピラミッドに近づけるな」と言い放ったという。翌朝になると、彼は疲弊し青ざめた姿でピラミッドから現れ、そして「未来の幻を見た」というウワゴトを繰り返していたという。 それ以後、ナポレオンは人が変わったかのようになった。軍隊の命運を左右するような重大な事柄であっても、その決定をすべて占星術や夢のお告げに頼ったのだ。彼のこの神秘主義への傾倒には怪訝(けげん)に思う部下も少なくなかったが、誰もそれを止めようとはしなかった。ピラミッドの体験以後、それまでろくな成果を上げられなかった彼は驚くべき飛躍を遂げて負け知らずとなった。果たして1804年には、とうとう皇帝の座に君臨することとなったのだ。 しかし、彼の名声は1812年のロシア遠征の失敗を機にかげりを見せ始めた。ヨーロッパ支配への野望が挫折しかかったことで彼は追い詰められるようになり、自室へこもるようになった。そんな中の1814年、彼のもとに一人の訪問者が現れる。それは赤い服を着た紳士であったと言われ、それまで訪問者を拒んでいた彼は顔色を変えて自室に迎え入れた。二人きりの部屋からは、紳士の威厳のある声とナポレオンの「私の力を奪わないでくれ」といった哀願の声が聞こえてきたという。その約数カ月後に、ナポレオンは亡くなることとなったが、死の間際に彼は「すべてピラミッドの中で見た通りだ」と言い残したという。
ナポレオンがピラミッドの中で見たものとは何だったのか、彼のもとへ訪れた人物が何者であったのか、今も謎のままである。しかし、もし彼がピラミッドの中で見たものがその後の彼の行く末を明示していたというのであれば、彼はその不都合となる将来を回避することはできなかったのだろうか。もしかしたら、彼の行いで未来は変えられたかもしれないが、「権力は必ず腐敗する」という政治学の大定理が示唆するように、権力の座に就いたことによって欲を乞うようになり、そのまま没落する未来の筋道を歩む羽目になったのかもしれない。
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文=にぅま(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
提供元・TOCANA
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