35年の長きに渡って生産されているマツダ ロードスター。
その間、クーペモデルや軽量なボディの特別仕様車などが発売されましたが、2代目(NB系)で初めて追加されたNR-Aはモータースポーツ用グレードとして別格のモデルです。
2015年に発売された現行型(ND系)にも設定されたNR-Aが改良を受けて、より多くのドライバーが安心してスポーツ走行を楽しめるモデルへと進化しました。
目次
・ロードスターのサーキット走行向けモデル『NR-A』とは
・ビギナーに優しいのは新型。土屋さんの好みは旧型!?
ロードスターのサーキット走行向けモデル『NR-A』とは
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2016年4月に累計販売台数が100万台を記録するなど、世界でもっとも販売台数の多い2シータースポーツカーとしてギネスにも認定されているマツダ ロードスター。
1989年9月に初代(NA系)ユーノス ロードスターが販売開始されて以降、35年の長きに渡って一度もその灯りを絶やすことなく進化し続けています。
ライトウェイトスポーツカーであるロードスターは、どんなシーンにおいても人馬一体の走りが味わえることが魅力ですが、なかでもNR-Aはサーキット走行向けに仕立てられた特別なモデルで、JAF公認のナンバー付車両によるワンメイクレース『ロードスターパーティーレース』にも使用されます。
現行型(ND系)のNR-Aは2015年にデビュー、2023年10月のロードスターの大幅な商品改良に合わせて進化しました。そこで、今回は大幅改良前と後のNR-Aをサーキットに持ち込んで、新旧比較を行いました。
従来型のNR-Aはシルバーのホイールが目印
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現行型ロードスターのNR-Aは、車高調整機能付きビルシュタイン製ダンパーをはじめ、大容量ラジエター、大径ブレーキなどを採用することで、冷却性と耐久性を向上させたサーキット走行も楽しめるモデルです。
搭載しているSKYACTIV-G 1.5、直列4気筒エンジンはハイオク仕様で、最高出力96kW(131ps)、最大トルク150Nmをそれぞれ発生。ボディは、車両重量1,010kgと軽量になっています。
新型はブラックのホイールにシャープになったヘッドライトがポイント
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2023年10月に敢行された改良はロードスター全体におよぶもので、外観ではヘッドランプとリアコンビネーションランプのデザイン変更とLED化を実施。
ヘッドランプは、デイタイムランニングランプの変更により、生き物の瞳のような表情はキープしつつスピード感やライトウェイトスポーツらしさを表現。
いっぽうリアコンビネーションランプは、歴代ロードスターに共通して採用されている「円形+楕円」のモチーフをより鮮明に表現するとともに、ユニークさに磨きを掛けています。
標準装備されるアルミホイールは、ホイールセンターから周辺にまっすぐ伸びたスポークにより、車軸からタイヤに動力を伝えているようなデザインを採用。スポーツカーとしての性能の高さや強さ、精緻さを表現しています。
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インテリアでは、視界を遮らないように工夫されたフレームレスデザインの8.8インチディスプレイを採用。
スマートフォンからアプリを通じて、クルマの状態が確認できますし、万がいちの事故の際には自動で救急車を手配するコネクテッドサービスも採用されています。
アシンメトリックLSDとDSCの制御モードを追加した新型
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走行性能面では、MT車(ロードスターSを除く)に新開発のアシンメトリックLSDを採用。加速・減速時のデファレンシャルギヤの差動制限力を変化させることで、減速時の安定性とこれまで以上にスムーズでリニアな旋回特性を実現しています。
さらにDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)にサーキット走行に最適化した制御モード “DSC-TRACK”を追加搭載。“DSC-TRACK”をONにすると、走行中にドライバーがコントロールできないような危険なスピン挙動に陥った場合に介入し、走行中のスピンを抑制します。
そのほか電動パワーステアリングの制御ロジックを緻密に進化させ、自然でスッキリしたステアリングフィールを実現しています。
また搭載しているSKYACTIV-G 1.5直4自然吸気エンジンは国内のハイオクガソリンに合わせた専用セッティングを施すことで最高出力を3kWアップ。さらにMT車は、駆動力制御に最新の制御ロジックを採用してアクセルレスポンスを改善しました。
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最高出力を引き上げDSCにサーキット走行用の制御モードを追加した新型NR-Aと、それまでのNR-Aを千葉県の袖ケ浦フォレストレースウェイに持ち込んで、ドリキンこと土屋圭市さんにステアリングを握っていただきました。
はたして新旧に、どんな違いが生まれているのでしょうか?