S氏は原因不明の病で倒れ、神憑かりを経験。謎の声を聞いたあと、人の悩みを見抜くことができるようになり、いつのまにか占い師/霊能者として密に活動するように。S氏のもとに来た依頼とは……。

【実話】行き過ぎた神仏への祈願の果てに「死にたい」… 商売繁盛と引き換えに霊障に悩まされる実業家男性
(画像=画像は「Getty Images」より、『TOCANA』より引用)

――神仏に祈願したのに霊障ですか?

S氏:まずは経緯から話しましょう。この相談者は、経営者であり経営コンサルタントでもあります。海外生活も長い人で、まさにバイタリティ溢れる青年実業家です。たまたま縁があって、ぜひ視てほしいといわれて会いました。

いろいろと話を伺うと、要するに「自分は運がよいと感じてきた、その分、世のため人のために尽くしたい」ということでした。彼の生年月日などを調べた結果、おそらく前世も来世も坊さんなり神主なりの人なんですね。ただ今生は休憩で、社会救済をがんばるよりは、家族と仲睦まじく暮らすようになっている。けれども、やはり前世も前々世も篤信の宗教家ですから、クセが抜けないんでしょうね。

――前世のクセとは?

S氏:まさしく前世のクセが問題を引き起こしたんです。家族安泰、商売繁盛して暮らすには、こちらのお寺で祈願してくださいと伝えました。すると「私の命を世のため人のために使ってください」と毎朝2週間も祈願した。しかも御本尊だけでなく、その寺社に祀られているすべての神仏に頭を下げて真言まで唱えて「私の命を使ってください」と人生を差し出してしまった。

――ど、どうなったんですか?!

S氏:そもそも何度も篤信の宗教家をやってきた人です。おそらく前世で何度も貧しい人々を助けて、自らを犠牲にして世のために尽くした人です。それゆえ今生での幸運が約束されている。ほとんど何をやってもうまくいく。ただ、うずくんでしょうね、前世のクセが。弱い立場にある人、困っている誰かをみると助けずにいられない。それで思わず「私の命を使ってください」と真言まで唱え、御神仏に願ってしまった。

祈願をうけた御神仏からすれば「おお、こやつ、今生では休むはずなのに、なおも働きたいと願うか、見上げた根性じゃ」と驚き、喜ばれる。ならば願いを叶えよう、協力しよう、となるんです。

結果、彼の経営する会社の売上は2週間で、ほぼ2倍になり、コンサル依頼は爆増し満足度はウナギ上り、彼の直観もバチバチに冴えた。

――いいことだらけじゃないですか

S氏:ところが一人になると、スピーカーから話すように「死にたい」「助けて」という声が聞こえるようになった。最初、統合失調症を疑ったようです。しかし、自分が死にたいわけではない。なぜか声が聞こえる。それで睡眠不足になり飲酒量も増えてしまった。さすがにヤバいと思って、もう一度会いたいと連絡が来た。

【実話】行き過ぎた神仏への祈願の果てに「死にたい」… 商売繁盛と引き換えに霊障に悩まされる実業家男性
(画像=画像は「Getty Images」より、『TOCANA』より引用)

――霊障は解決したんでしょうか?

S氏:霊の障りではないんです。なぜなら人間の善い願いに対し、御神仏が善く取り計らってくださっただけですから。実態としては、依頼者は、歩く駆け込み寺のようになっている。そもそも誠実な意味で宗教家の適性がありますから、生者死者問わず助けを求める人々の念が聞こえてしまったんです。

ではどうしたか。結局、一緒に参拝へ行き、結んだ願いをほどいて、下げました。「とても担いきれません。申し訳ございません」と頭を下げに行きました。参拝にいって気づきましたが、かなり強力な世直しのためのお地蔵さまや広く人々を救う仏様に祈願していました。そりゃ声も聞こえますよね。

何が言いたいか。御神仏に謙遜に祈ることは人間の習いとしては正しいことです。しかし、自分が担えない願いを祈り、間違えたやり方を行うと、人は簡単に壊れてしまいます。神仏との関わりは、本当に恐ろしく厳しいところがあります。寺社仏閣好きな人は多いですが、くれぐれも「自分のいのちを使ってください」等と祈らないでください。本当に使われますから。

文=神ノ國ヲ

提供元・TOCANA

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