何より、Trebleはこのプラットフォームを発展活用するためのSDK(ソフトウェア開発キット)を提供している。同社のプラットフォームは、シミュレーションだけでなく「合成音声データ」の生成プラットフォームでもあり、ユーザーの機械学習モデル用のトレーニングデータセットを作成可能なのだ。
“騒音”による環境ストレスが課題視される一方で、音響技術・生成AI・AR分野でのAIベースオーディオモデル急成長に伴い、音声トレーニングデータの不足が大きな課題となっているのだが、Trebleのツールで生成した合成音声データを機械学習のトレーニングに活用することができるという。

Image Credits:Treble Technologies

同社ロードマップによると、現在SDKのバージョン2を開発中とのことだ。

30日間無料トライアルで実際にプラットフォームを実体験

今回、同社プラットフォームの30日間無料プランを実際に利用してみた。アカウント作成は必要だが、この時点でクレジットカードの登録は求められない。

レアケースかもしれないが、あえて「定員30人の教室の中央で1人の生徒が楽器を弾いている」という状況を設定。2人掛けの机が15個、正面には教壇、後方に物入れのある一般的な教室だ。実際には、家具の材質や壁や床の建材、カーペットの有無とその材質まで細かく指定できる。

Image Credits:Treble Technologies

テストの結果、当然ながら聴衆の位置によって楽器の音はまったく異なる形で届いていた。奏者の隣にいる場合は美しい音色なのだが、少し離れただけでビリビリという不快な音が伝わるようになる。楽器の音色が騒音扱いになる理由がよく分かるシミュレーション結果だった。

今回は楽器の演奏を想定したが、ほかに3Dプリンターの稼働音、会議での会話、キーボードの打鍵音などさまざまな音声が用意されている。「30人の生徒が一斉にPCのキーボードを叩いている」という設定も可能だ。
デモの様子は、CEOのPind博士自ら登場・解説するYouTube動画でも確認できる。