今回の舞台は、和歌山県田辺市。全国3,000社からなる熊野神社の総本宮の熊野本宮大社を訪れてみました。
熊野三山とは
熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の三社を、熊野三山と呼びます。和歌山県の南東部に位置しており、熊野古道によってお互いに結ばれています。
熊野川の、日本一の大鳥居と大斎原のもとに鎮座するのが、熊野本宮大社。日本全国熊野神社の総本山で、古くから熊野信仰の中枢を担ってきました。今回は、熊野本宮大社についてご紹介していきたいと思います。
熊野本宮大社について
公共交通機関を利用する場合は、バスがおすすめです。「本宮大社前」下車してすぐのところに、神社があります。
バス停の背後にある建物は、和歌山県世界遺産センターと呼ばれる施設で、世界遺産「高野・熊野」の魅力や次世代に継承する取り組み等の展示をされています。
自家用車の場合は、付近の駐車場を利用することができます。私は、鳥居の近くにある「樹の里 駐車場」に車を停めました。無料で駐車できるという点も、嬉しいポイントです。
上四社、中四社、下四社の三社からなり熊野三所権現と言われます。参拝の順番が記されており、上四社をお祀りしている熊野本宮大社から。次に産田社、最後に大斎原という順序でお参りします。
杉木立に囲まれた158段の石段を登っていきます。参道の中腹には、祓戸大神が鎮座するので、そこで身を祓い清めます。
本殿は撮影禁止のため、ここからは文章で説明します。門をくぐって、向かって左手の社殿が夫須美大神・速玉大神。
国産みの神様として知られています。夫婦という概念や、人間の生と死の始まりを作った神様とも言われており、現代にも受け継がれるルールが多く誕生しました。
中央は、主祭神の家津御子大神(スサノオノミコト)。
スサノオは、イザナギが禊の際、鼻を洗った時に生まれた神です。高天原で暴れて追放され、出雲に降り立った荒神ですが、出雲においてはヤマタノオロチ退治を筆頭に英雄神、開拓神として親しまれています。
そして右手は、天照大神が祀られています。八百万の神々で最高位に位置しているのが天照大神で、イザナギの左目から生まれました。
古事記では、スサノオの姉にあたります。天上世界を治める太陽を司る女神として描かれ、現在は伊勢神宮の内宮を代表として全国に祀られています。
神話とされている物語の舞台がここに存在するという印象を抱きました。熊野本宮大社のご利益として、大漁満足、家庭円満、交通安全、夫婦和合、長寿などがあります。
多くのご利益を期待できる神が奉られているため、昔から現在に至るまで多くの参詣者が訪れています。
至る所に見られる、3本足のカラス。日本サッカー協会のシンボルとしても有名な、八咫烏(やたがらす)です。八咫烏は、日本書紀・古事記の「神武東征」という物語に登場します。
神武天皇が熊野に到着された時、神の使者である八咫烏が奈良まで道案内をしたというエピソードから、熊野三山に共通する「導きの神鳥」として信仰されるようになりました。
八咫烏には、商売繁盛、五穀豊穣、合格祈願、大願成就のご利益があると言われています。
熊野本宮大社
・住所:和歌山県田辺市本宮町本宮1110
・公式サイト:熊野本宮大社
熊野本宮大社を後にして、次は産田社へ。
歩いて5分ほどのところにあります。
伊邪那美命の荒御魂が祀られています。生みの神として名が知られており、安産などのご利益があるそうです。
産田社
・住所:和歌山県田辺市本宮町本宮
日本一の大鳥居をくぐり、最後は大斎原へ。
大斎原は、熊野本宮大社の旧社地です。明治22年8月の洪水により、大斎原にあった熊野本宮大社の社殿の多くが流されてしまいました。流失を免れた上四社3棟を明治24年に移築・再建し、現在の熊野本宮大社となりました。
大斎原には、流失した中四社・下四社をまつる石造の小祠が建てられていました。
大斎原
・住所:和歌山県田辺市本宮町本宮
神話の世界を体感してみよう
今回は、和歌山県田辺市にある世界遺産の熊野本宮大社についてご紹介しました。神話好きの筆者にはたまらない空間で、考察も捗りました。
歴史好きはもちろん、パワーを注入したい、自然を感じたい人にもおすすめのスポットです。旅の行き先の候補にしてみてください。
【文・写真 南谷有美/提供元・たびこふれ】
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