【最新モデル試乗】意のままの走りが楽しめるMTスポーツ誕生。シビックRSは「操る喜び」を教えてくれる!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

RSは軽量フライホイール採用。専用足回りで絶品ハンドリングを追求した

 現行シビックのマイナーチェンジとともに、RSが帰ってきた。奇しくも1974 年に初代シビックRSが登場してから、ちょうど50年だ。ホンダの場合「RS」は、ロードセーリングを意味する。

 初代シビックが現役の頃はエンジン出力がまだ低く、高速道路を巡行するのは容易なことではなかった。そんな中、高出力エンジンを搭載して、あたかも水上を帆走するように悠々と気持ちよくハイウェイを走らせたい、という思いがRSには込められていた。

 性能が段違いに高まった現代では、高速道路を満足に走れるのは当たり前。だが、より気持ちよく走りたいという思いは変わらない。そのニーズに応えるホンダの回答が、今回のシビック RSである。エンジンは1.5リッターターボ(182ps/240Nm)、トランスミッションは6速MTを組み合わせる。

【最新モデル試乗】意のままの走りが楽しめるMTスポーツ誕生。シビックRSは「操る喜び」を教えてくれる!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】意のままの走りが楽しめるMTスポーツ誕生。シビックRSは「操る喜び」を教えてくれる!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

 開発陣は、「RSは、思いどおりに操る喜びを気軽に体験でき、運転することで心が昂ぶるクルマ。最新技術で誰でも楽しめるようにした進化型MTスポーツです。爽快なドライビングとともに、所有する喜びも追求しました」と説明する。

 シビックには、すでに走りの象徴としてタイプRがある。ニューカマーのRSはクルマ好きに向けた、新たな選択肢。日常的にクルマの楽しさを満喫したいというドライバーへのプレゼントである。

トランスミッションは6速MT。あくまでドライバーが主役

 現行11代目シビックをざっと振り返っておこう。日本で発売されたのは2021年9月。日本仕様はハッチバックのみで、1.5リッター直噴ターボ搭載車が先行デビューした。CVTだけでなく、6速MTもラインアップされたことが話題を呼ぶ。約1年後には、e:HEVとタイプRが相次いで加わった。

 標準仕様のガソリンとMTの組み合わせは、やや期待はずれだった。今回、確認のためRSと同じ条件で乗り比べたのだが、ドライバーズカーとしてはいまひとつ。だが、RSではほぼすべてが改善されていた。

【最新モデル試乗】意のままの走りが楽しめるMTスポーツ誕生。シビックRSは「操る喜び」を教えてくれる!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
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(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

 標準MTで最もいただけない点は、アクセルオフ時のエンジン回転落ちが遅いこと。アクセルを戻してエンジンブレーキがかかっても減速感が小さく、シフトダウンしようとクラッチを操作しアクセルを踏んでも、エンジン回転が上がりにくくてかつ下がりにくかった。だからシフトのタイミングを把握するのは至難の技だった。

 RSは軽量フライホイールを採用。同時にエンジン制御をリファインした。レスポンスは回転が下がる側で50%、上がる側で30%向上。自然な感覚でストレスなくシフト操作ができるようになった。

 加速フィールも改善されている。標準MTは5000rpmあたりからややガサツな印象を感じたが、RSはよりスムーズに気持ちよく吹き上がる。エンジン自体には手を加えず、フライホイールだけでこんなに変わるとは驚いた。

【最新モデル試乗】意のままの走りが楽しめるMTスポーツ誕生。シビックRSは「操る喜び」を教えてくれる!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】意のままの走りが楽しめるMTスポーツ誕生。シビックRSは「操る喜び」を教えてくれる!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

 RSはレブマッチシステムの採用も新しい。レブマッチシステムは誰でもプロドライバーのようなシフトチェンジが可能となる機構である。本気で攻めるともう少し素早く応答してほしいと感じるシーンもあったが、タイプRではなくRSなのだ。この設定は適切である。

 ドライブモードは、スポーツ/ノーマル/ECO/インディビジュアルの4種。モード選択によりエンジン、ステアリング、メーターの設定が変わり、スポーツモードを選ぶとよりダイナミックな走りを約束する。インディビジュアルモードが追加されたのもRSならではである。

 RSはハンドリングもいい。専用サスペンションとステアリングシステムを組み込んでいる。具体的には、足回りは車高を5mm下げ、スプリングとスタビライザーを強化。ロール剛性を11%高め、ダンパー容量を拡大して微低速域から減衰力の応答性を向上させた。フロントコンプライアンスブッシュは液封からソリッドラバー化。電動パワーステアリングは、トーションバーレートを60%高めている。

 標準MTとの走りの差は歴然。ステアリングの手応えが増すとともに、切り始めの応答遅れが払拭されている。イメージしたラインを正確にトレースしていけるのがうれしい。しかもタイヤが路面をしっかりと捉える感覚がある。

【最新モデル試乗】意のままの走りが楽しめるMTスポーツ誕生。シビックRSは「操る喜び」を教えてくれる!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】意のままの走りが楽しめるMTスポーツ誕生。シビックRSは「操る喜び」を教えてくれる!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

 ブレーキも信頼できる。フロントディスクローターの有効径を6%、熱容量は14%、ブレーキパッドの面積と熱容量は17%向上した。乗ると信頼感が伝わってくる。標準MTは初期に少々利きすぎる印象があるが、RSは踏力でリニアに減速具合をコントロールできるようになっていた。

 RSは意のままに気持ちよく走れて、コーナリングでのロールも小さく不安定な挙動が出にくい。安心して攻められるので、思わずペースが上がってしまう。走っていて、この楽しさの本質はロードセーリングというよりも、やはりスポーツといったほうがいいのではないか、という気がどんどんしてきた。果たしてオーナーになる諸兄はどう感じるだろうか。

【最新モデル試乗】意のままの走りが楽しめるMTスポーツ誕生。シビックRSは「操る喜び」を教えてくれる!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】意のままの走りが楽しめるMTスポーツ誕生。シビックRSは「操る喜び」を教えてくれる!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

ホンダ・シビック主要諸元

グレード=シビックRS
価格=6MT/419万8700円
全長×全幅×全高=4560×1800×1410mm
ホイールベース=2735mm
トレッド=前1535/後1565mm
車重=1350kg
エンジン(プレミアム仕様)=1496cc直4DOHC16Vターボ
最高出力=134kW(182ps)/6000rpm
最大トルク=240Nm(24.5kg・m)/1700-4500rpm
WLTCモード燃費=15.3km/ℓ (燃料タンク容量47リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=11.3/15.6/17.8km/リッター)
サスペンション=前ストラット/後マルチリンク
ブレーキ=前ベンチレーテッドディスク/後ディスク
タイヤ&ホイール=235/40R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.7m

提供元・CAR and DRIVER

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