とにかく、高市氏が総裁に選出されず、ほっとしたという議員、国民は多いでしょう。私もその一人です。そんな高市氏も石破氏に決選投票で肉薄したのです。議員票(石破189票、高市173票)、党員らの地方票(石破26票、高市21票)と、ほぼ二分されました。

米国でも、ハリス氏優勢が伝えられながらも、トランプ氏とは僅差の争いになっています。国家の二分は日本でも、格差拡大で進むのでしょう。石破氏の「金融課税の強化」は後退気味です。富裕層の金融所得は源泉分離でなく、総合課税にしたらよいのです。もっとも、富裕層の資金が海外に流出し、株価が下落したら、中間層もダメージを受ける。難しいところです。

石破氏はアベノミクスの修正・停止を明言しませんでした。総裁選を意識して、石破氏に限らず、多くが発言せず、高市氏が「金利に引き上げは早すぎる」と、大規模金融緩和の継続を求めました。他国は利下げに動いているのに、日本は周回遅れです。

石破氏は岸田首相のアベノミクスの修正路線を継承するようです。どこかの段階で、「中央銀行の独立が望ましい。為替対策(円安誘導)、財政ファイナンス(巨額の国債保有)の修正が必要だ」ともいってほしい。

政治資金の流れについては、監査する第三者機関が設立される方向です。これに合わせ、主要国のうち、日本だけにない財政独立機関も設けたらどうでしょうか。いい加減な財政再建目標への警告、中央銀行による国債保有の監視などに取り組んでほしい。

財政再建では、もっともカネがかかっている社会保障制度の改革が不可避です。今後15年で、50兆円の増加になる。現在、高齢者層がカネを食っています。医療保険負担などは現役世代と同率にする必要があります。石破氏はその設計に取り掛かっってほしい。

各新聞の社説では、派閥解消の影響に触れています。「旧派閥の枠組みにとらわれず、適材適所の人事を貫けるかが、派閥なき後の党運営の試金石になる」(朝日新聞)。そうでしょう。一方、「麻生派は高市氏にまとまって投票するよう呼びかけるなど、派閥が一定の存在感を示した」(読売新聞)。