とりわけ巧みなのがドラッグバック(足の裏のコントロール)だ。足の裏で細かく触ってヒールキックすることもある。足の裏はボールに触れている時間が長くなるため、究極に柔らかいタッチができる。ボールを引き寄せて360度あらゆる方向に転換できるため、相手にとっては予測が難しい。難易度が高い技だが、ロナウドはスピードに乗った状態でも足の裏で高水準のコントロールができる稀有な能力を持つ。

また、187cmと長身だが、驚くほど細かく素早いステップを得意とする。身体が大きいと動作が鈍くなる傾向があるが、ロナウドの膝から下の動きは時には肉眼では捉えられないほどに高速回転する。

ブレ球もロナウドの大きな武器になっている。キックする際に足の甲全体で押し出すようにボールを捉えることで無回転になり不規則な動きをするため、GKは球の軌道が読めずに対処が極めて難しくなる。無回転シュートを意図的に蹴れるのは、プロ選手でも限られている。蹴り方だけではなく、仁王立ちする助走の入り方まで、多くの選手が模倣するようになった。

すね当てが下がってこないように足首にホワイトテープを巻いているが、キックの際に当たってミスしないように配慮してのことだ。とりわけ無回転ボールは、ちょっとした不具合でも成功しないため細心の注意を払っているのだろう。

クリスティアーノ・ロナウド 写真:Getty Images

徹底的な体調管理と身体的な素質

ロナウドはキャリアが進むにつれて胸板が厚くなり大腿筋が隆々と大きくなった。肉体のコンディショニングに余念がなく、これは努力の賜物だ。

パーティーに参加しても、お酒を口にしないことから、つまらない男だと思われることもあるようだ。しかし、負けず嫌いのロナウドにとっては、自分の気持ちが緩んで試合に敗れることのほうがよっぽどつまらないに違いない。

規則正しい生活スタイルや栄養管理を徹底し、チームの練習以外にも自主トレーニングを行っている。サッカー選手は体脂肪率10%未満が理想と言われるが、ロナウドの腹筋は常に割れている状態だ。度々、ひざを故障しているが現在も高いパフォーマンスを維持している。