人の世に輪廻転生は起きているのか。一説によれば生まれ変わりが存在する“証拠”があるという。ある研究者によればそれ皮膚のアザをはじめとする身体的な痕跡である。
■生まれ変わりを示唆する“物証”とは
イアン・スティーヴンソン(1918-2007)は「生まれ変わり現象」の研究者であり、著書『Reincarnation and Biology(生まれ変わりと生物学)』の中で、頭や首にあざや欠陥のある子供の 75の症例を記録しており、これらは前世と関係があると考えられるという。
同著にはアジア、アフリカ、北米、ヨーロッパなどの地域からの225件の症例報告が含まれており、アザや身体欠陥のほとんどは致命傷と一致していたが、イヤリングの穴やタトゥーなど他の傷跡に関連するものもあり、そのいくつかは南アジアで一般的な習慣である死後に付けられた傷跡に関連していた。
生まれながらのアザと身体欠陥にはさまざまな原因があり、その多くは完全には解明されていないが、スティーヴンソンをはじめとする一部の人々は、特定のアザは前世から来ている可能性があると考えている。
生まれ変わりについてはまだまだ議論のある考えだが、アザが亡くなった人の致命的な傷や傷跡の位置や外観と一致するケースは“物証”になる可能性がある。また、亡くなった人物の生活の詳細を覚えている者や、亡くなった人物と似た行動、感情、性格を示す場合もある。
スティーヴンソンは2004年に行われた講演で、死後の世界の証拠に関する自身の見解を概説し、死後の世界の証拠として重要な6つの情報源を特定して解説している。
●幽霊(Apparitions)
彼はこれを「精神的に健康な人の幻覚」と呼び、亡くなった人物見たり、その存在を感じたりするという体験であると定義している。スティーヴンソンは、これらの現象が死後の世界について議論する上で重要であると考えている。
●臨死体験(Near-Death Experiences)
彼は死にそうになりながらも生き残った人々の体験について言及しており、これらの体験は多くの人がそのような瞬間に深遠で変革的な洞察を報告しているため、大きな注目を集めている。
●死にゆく人の発言(Statements from the Dying)
スティーヴンソンは死期が近づいた人は、注目に値する発言や考えを述べることが多いと指摘している。これらの発言は、人生に対する通常の理解を超えた洞察や認識を反映している可能性がある。
●憑依体験(Possession Experiences)
彼は当人の人格が消えて、別の人物の特徴に置き換わったように見える例を説明している。この現象は、アイデンティティと意識の本質に関する疑問を提起する。
●霊媒能力(Mediumship)
スティーヴンソンは死者と交信できると主張する人々、いわゆる霊媒師について論じている。死者の霊を「肉体を持たない人格」と定義し、一部の霊媒師は死者からの信頼できるメッセージを伝え、死後も存在し続けることを示唆できるという。
●鮮明な夢(Vivid Dreams)
スティーヴンソンは同僚が体験した重要な夢について語り、それが死後の世界という考えを裏付けるさらなる証拠になると考えている。
スティーヴンソンは“前世記憶”を語る子供たちの387の症例を研究している。バスを避けようとして後ろに下がって掘に落ちて亡くなった女性の人生について話すバス恐怖症のスリランカの女児がいたり、第二次世界大戦中に日本兵だったと語るビルマの少年は、日本の服を着たがったり、スパイシーなビルマ料理よりも生魚を好んだという。
はたして生まれ変わりは起きているのか。そもそも2007年に亡くなったスティーヴンソンの生まれ変わりが世界のどこかで誕生しているのだろうか。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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