■邪視の不意打ちから身を守る“お守り”
『プルタルコス英雄伝』で有名なローマ帝政時代のギリシア人著述家プルタルコスは、邪視は、目から発することができる見えない“光線”の作用であり、そして十分に強力であるならば、人を殺すことさえできると説明している。そして興味深いことに、瞳がブルーまたはグリーンの目をした人々が邪視に熟達していると言及している。地中海やエーゲ海の地域では青や緑の目の人間は稀で、それ故、より“邪悪”であると考えられていたようだ。
同じく帝政ローマの博物学者、ガイウス・プリニウス・セクンドゥスたちもまた邪眼について言及しており、特にアフリカ人がその技に熟練していて、「目で魅了する力を有し、視線を定めることで人を殺すことさえできる」と自著に記している。
このように危険過ぎる邪視なのだが、その認識が高まるほどに自ずから防衛策も講じられてくる。