天文学者たちは、何年にもわたって宇宙の彼方から届く地球外生命体からのメッセージに耳を傾けてきた。中でも今から40年以上前にオハイオ州立大学の学校の望遠鏡が捉えた奇妙な電波シグナルは、これまで記録されたシグナルの中で最も刺激的かつ不可解な例として長く語り継がれ、研究されているものだ。
問題の非常に強い電波シグナルはいて座の球状星団M55から発生し、約72秒間続いたもの。 コンピュータの出力結果を最初に調べた天文学者のジェリー・エーマン氏は、シグナルのあまりの強度に驚いてそのページに『ワオ!(Wow!)』と書き記した。このシグナルは最も地球外知的生命体からのものである可能性が高いシグナルとして、落書きから『Wow!シグナル』と呼ばれるようになった。
現在ではこのシグナルは自然発生的なものだとされているが、発生源などの詳細については何十年もの間、議論の的となっていた。
しかし今はなきアレシボ天文台が過去に収集したデータから、同様の信号を見つけることを目的とした新しい研究の結果から、シグナルの謎が解き明かされる可能性が出てきている。
有力視されているのは”銀河系内の冷たい水素(HI)による星間雲 “という可能性だ。研究者たちは過去のデータから、弱いながらもWow!シグナルに類似した信号の例を多数発見した。Wow!シグナルは極めて希少な、出力が増大したものである可能性があるというのだ。
Wow! シグナルは、マグネター・フレアや軟ガンマ線リピータ(SGR)のような強い過渡放射源による水素線の刺激放出によって、天体が突然明るくなったために起こったものであるが、このような現象は非常にまれであり、特殊な条件や配置に左右されるという。これはオハイオ州立大学の望遠鏡が、通常の状況では同様のシグナルを拾うことができないにもかかわらず、Wow!シグナルを検出できたことの説明にもなるという。
「われわれの仮説は、Wow! シグナルは、水素系列で初めて記録された天文学的メーザー・フレアである可能性を示唆しています」と研究チームは語る。
今後、更に研究が進めばシグナルの正体が明らかになるのかもしれない。
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文=飯山俊樹(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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