古代の壁画や彫刻の中に、当時存在していたとは到底考えられない、現代で使用される物体のようなものが登場している例は少なくない。それらは、偶然に現代の用品と形状が似ているだけの別のものであるのか、はたまた本当に当時存在していた現代的なアイテムであるのか、議論は尽きない。
紀元前100年ごろ、今からおよそ2200年前の遺跡から発見された「Grave Naiskos of an Enthroned Woman with an Attendant」(大意：侍者を従えた女性の墓)と称される彫刻がある。その彫刻には、肘掛けの椅子にくつろいだ女性と、手にとあるものを持った使用人が描かれており、女性はその使用人の持っているものに手を伸ばしている。
問題なのは、この女性が触れようと手を伸ばしている使用人の持った物体だ。その様は、なんと「ノートパソコン」としか思えないものなのである。まさしくノートパソコンを開いてその画面を見ているかのような女性の姿が印象的であるが、さらに興味深いのは胴体部の側面にある2つの穴だ。ノートパソコンとして見ると、それらはUSBやイヤホンなどの接続部分を想起せずにはいられない。
当時は、死後の世界でも地上の楽しみが続くようにという願いによって、死者の墓にそういったものを刻む習慣があったと言われている。ということは、ここに描かれている2000年以上も前とされる女性は、侍女を従えてネットサーフィンを嗜むことが生前の楽しみだったのだろうか。
当然ながら、この「ノートパソコン」説は、はるか昔にそのような現代の遺物が存在していたなどあり得ないと考える懐疑派の反論の的となっている。
代表的な反論として、これはノートパソコンなどではなく「宝石箱」あるいは「蝋板」(ろうばん)ではないかというものがある。
宝石箱であるとする理由は、女性が腕などに金属のブレスレッドを装飾にしていることから、非常に裕福な人物であり、侍女に宝石箱を持たせて蓋を開いている様子に過ぎないというものだ。
箱にしては底が浅すぎではないかという見解もあるが、厚みもなく平たい状態での保管が可能で、なおかつそこまでいくつも納められているわけではないとすると、この説は割と信憑性が持てる。その一方で、女性の目線が蓋の方に向いているようにも見えるとの意見もあるため、確定するには至っていない。
さて、もう一つの「蝋板」説だが、そもそも蝋板とは木製のタブレット(書字板)を言う。蝋板は、木の板をその名の通り蝋すなわちワックスで覆い、もう一つの板と紐で綴り合せて2枚重ねにして使用されていた。尖筆(スタイラス)という先のとがった筆記用具で蝋を引っ掻くことで筆記し、ヘラで表面を削り落とすことで何度でも書き直すことができたという。
現代的に言えば、ペンタブを使用して画面に直接書き込むことができる液タブやアイパッドの感覚に近いように思える上、何よりその形状や用途も非常に近いものが感じられる。ただし、仮にこの彫刻で描かれているアイテムが蝋板であったとすれば、女性の手に尖筆と思しきものが見られないというのは不自然ではないかという反論もある。なお、USB接続用にも見える2ヶ所の穴については、彫刻の修理痕として残ったものに過ぎないという意見もあるようだ。
結局のところ、この2種類のノートパソコン否定説も、完全に説明を尽くしきることはできていないのだ。こうしたことから、この時代に高度な文明を有した地球外の存在によって持ち込まれたオーパーツではないかとする都市伝説まで囁かれるようになっている。また、不定期にブームが起こるタイムトラベラーの話題の際には、「タイムトラベラーが持ち込んだノートパソコン」というように、たびたび題材として取り上げられる事例の一つともなっているという。
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【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS（アトラス）」からの提供です】
文＝黒蠍けいすけ（ミステリーニュースステーションATLAS編集部）
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提供元・TOCANA
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