古典力学を確立し近代物理学の祖といわれているアイザック・ニュートンだが、これまであまり知られていなかった遺稿の中には、さまざまな分野への興味・関心をうかがわせるノートが残されている。そこにはエジプトのピラミッドについての考察も含まれていたのだ。
■焼け焦げたニュートンの遺稿がオークションに登場
木からリンゴが落ちるのを見て「万有引力の法則」を発見したエピソードが有名なアイザック・ニュートン(1642-1727)は、表向きは物理学者であり数学者、さらに天文学者であったとされている。
しかしニュートンの興味は幅広く、自分から口外することは少なかったものの錬金術や神学、さらには“聖書予言”やピラミッド学にも傾倒していたことが死後発見された遺稿から明らかになっている。
そうした遺稿の1つが、かつてオークション会社「サザビーズ」で競売にかけられたことがある。エジプトのピラミッドについての考察が書き綴られているそのニュートンのメモは、残念ながら一部が焼け焦げているのだが、これは彼の愛犬「ダイヤモンド」が書斎のキャンドルを倒してしまったからであるといわれている。とすれば、それはそれで価値が高まるのかもしれない。
もちろんそうした一連のエピソードが実際に起きたのかどうか今のところは確かめる術はないのだが、ニュートンによって書き綴られた内容はかなり興味深いものになっている。近代科学の礎を築いたニュートンのイメージからは意外なほど、オカルトの範疇に入る分野にも魅了されていたことが浮き彫りになっているのだ。
たとえば、この焦げたメモには、古代エジプトのギザの大ピラミッドがロイヤル・キュービット(the royal cubit、1キュービット=52.5cm)と呼ばれるエジプトの測定単位に基づいて設計されていると信じていたことが記されている。
ニュートンは、ロイヤル・キュービットを定量化することで、重力に関する独自の理論を洗練することができるかもしれないと考えていたという。そうすることで、地球の円周の正確な測定を可能にすると同時に、“聖書予言”のようなあいまいで“神聖な”洞察を検証できるようになると考えていたのだ。 聖書の黙示録で“予言”されているように、この世の終末がいつやってくるのかを突き止めることを思い描いていたというのだ。
なお、この書簡はオークションで約8000万円(50万4700ドル)の値で落札された。