この度、考古学者のチームが、ロンドンの西約112キロに位置するオックスフォードシャー州のグローブという村で、1800年前のローマ時代の別荘群の遺跡を発見した。その中から研究者たちは、呪いが含まれていると疑われる鉛の巻物など多数の遺物も発見した。

古代ローマの「呪いの巻物」、英国の1800年前の豪邸で発見される
(画像=Created with DALL·E、『TOCANA』より 引用)

 イギリスは、紀元43年から五世紀初頭まで350年以上にわたってローマの支配下にあった。グローブでの発見は、このローマ時代のイギリスにさかのぼる。

 研究者たちは、コイン、宝石、花のモチーフ、奉納用の斧、彩色された漆喰、レンガの床、鉛の巻物、モザイク、そして1,500年前の馬の頭の形をしたバックルを発掘した。これらの高価な材料や精巧な工芸品は、この土地がかつてエリート層のローマ人の居住地だったことを示唆している。 

 ローマ時代の建造物を見つけるのはいつもわくわくするものであるが、今回はその豊富さにおいてかなり珍しいものとなっている。別荘群の存在は、この場所がかつてローマ人の活動の重要な中心地であったことを示唆している。なぜなら、別荘はローマ人によって住居として使用されていただけではなかったからだ。

「より広いコミュニティが利用していたであろう大規模な複合施設だったようです」とシニア・プロジェクト・マネージャーであるルイス・スタッフォードは述べた。

 発掘された別荘群は、約60×45メートルの広さを持つ巨大なものだ。複数の部屋と中央廊下があり、漆喰や花のモチーフ、レンガの床などの装飾が施された高級な施設であった。

 研究者たちはまた、穀物を乾燥させるために使われたであろうオーブンのような構造も発見した。しかも、床下に熱を流して建物や浴室を暖かく保つために使用した地下暖房システムがあることも判明した。

 別荘のすぐ隣には、大きなホールがある。この建物のペンキや装飾から、別荘に住んでいた家族が所有していたことが示唆されている。

「今でも残っている建物の大きさや、回収された物資の豊富さから、広い景観とまではいかなくても、この地域の主要な特徴であったことがうかがえます」とスタッフォードは述べた。

 さて、考古学者たちは出土品の山の中から、別荘の敷地で固く巻かれた鉛の巻物も多く発見した。古代の人々は、この長方形の鉛板を使って、他人に向けた願い事や呪いを書いたと考えられている。その鉄板は丸められ、供え物用の穴に置かれる。

「祭祀場では、守護神に捧げられた個人への祈りやまじないの文字が書かれた一枚の鉛と固く巻かれた鉛の巻物が知られています。発見された巻物のいくつかは専門家に送られて開封されましたが、今のところ何と書かれているかわっていません」とスタッフォードは語った。

 呪いの巻物は、古代世界ではごく一般的なものであった。もっと新しい時代にも、人々は呪いの巻物を使っていたという。2023年後半には、ドイツの考古学者たちによって、ドイツの都市ロストックのトイレの下から小さな鉛の巻物が発見された。15世紀に作られたその中世の石版には、「satanas taleke belzebuk hinrik berith」と刻まれていた。

 悪魔サタン、ベルゼブブ、ベリスをヒンリクという男とタレケという女に向かって召喚する。これは恋を断ち切るための呪いだったのかもしれない。トイレの底で発見されたという事実は理にかなっている。なぜなら、呪いの巻物は非常に見つけにくい場所に置かれることになっていたからだ。

 また、数々の出土品から推定したところ、この別荘群は住居や行政の中心地としてではなく、礼拝や儀式を行う場所として使われていた可能性が考えられている。ただし、これらの仮定を確認するにはより多くの情報が必要不可欠だ。

 遺跡では現在も発掘が続けられており、考古学者たちは近く、遺骨と遺物をさらなる調査のために研究所に送る予定だ。

【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】

文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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