【最新モデル試乗】夢広がるBEV。広く/静かで/力強い! ホンダN-VAN e:の電気のあるモータリング世界
(画像=ホンダN-VAN e:FUN/価格:291万9400円。使い方自由自在の大空間を持つボクシーBEV。一充電当たり走行距離(WLTCモード)は245km。CEV補助金は55万円(自家用)。実質的に通常のガソリン車とほぼ同等の負担で購入できる、『CAR and DRIVER』より引用)

これは楽しい! 部屋にもお店にもなる電動ホビーカー

 ホンダの新たな国内BEV戦略の担い手、N-VAN e:の販売が10月10日にスタートする。N-VAN e:は、さまざまな商用ニーズに応えるだけでなく、ホビーカーとしても優れた適性を持つマルチモデル。「e:CONTAINER=移動蓄電コンテナ」をコンセプトに掲げ、環境に優しい/どこでも給電/自在に使えるを徹底的に追求した。

 ラインアップはe:G/e:L2/e:L4/e:FUNの4グレード。このうちG(243万9800円)とL2(254万9800円)はビジネス使用を想定。一般オーナー向けはL4(269万9400円)とFUN(291万9400円)。ともに4シーターモデルで、遊びのベース基地として十分な快適装備を標準装備する。ボディカラーも2トーン仕様が選べるなどオシャレ。こだわって乗るモデルとして、高い存在感を発揮するのがうれしい。

【最新モデル試乗】夢広がるBEV。広く/静かで/力強い! ホンダN-VAN e:の電気のあるモータリング世界
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】夢広がるBEV。広く/静かで/力強い! ホンダN-VAN e:の電気のあるモータリング世界
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

 開発は入念に行われた。ヤマト運輸とタッグを組み、徹底的な実証テストでプロツールとしての高い完成度を追求。一充電当たりの走行距離(WLTCモード)は245kmに達する。これは日産サクラ/三菱eKクロスEVの180kmを大幅に凌駕するだけでなく、開発目標の210kmも超える優れたデータだ。開発担当者の坂本隆樹氏(BEV開発センター・統括LPL)は「商用ユースのN-VANのBEV化は、重量、走行、そしてパッケージ面でも、一番難しい挑戦でした。実際のビジネスシーンで満足に使えるよう冬場でも安心して100km以上走れる性能を追求した結果、実用性能が大幅に向上しました。バッテリーの適切な加温・冷却システムを構築し、さらにタイヤの13インチ化で走りとブレーキ性能を向上。このクルマでBEV化できたのですから、Hondaはどんなクルマでも優れたBEVを作れると思います」と語ってくれた。充電時間は200V(6kW)の普通充電で約4.5時間、急速充電では30分(80%まで)。充電リッドはバンパーリサイクル材を採用したフロントグリルに配置している(急速充電リッドは一部グレードではop)。

【最新モデル試乗】夢広がるBEV。広く/静かで/力強い! ホンダN-VAN e:の電気のあるモータリング世界
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】夢広がるBEV。広く/静かで/力強い! ホンダN-VAN e:の電気のあるモータリング世界
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

 対面したN-VAN e:は、楽しい雰囲気にあふれていた。ガソリン仕様との違いはほとんどないが、シンプルでチャーミングなスタイリングは魅力たっぷり。しかもボクシー形状はサイズ以上の存在感を放つ。取材会場にはフラワーショップ仕様に仕上げたモデルが展示されていたが、アイデアしだいで発展性は無限大だと実感した。後席だけでなく、助手席も床下に収納できるフリースペースは広大そのもの。なんでも積めてアレンジ自在である。

 ちなみに運転席は新型N-BOXのシートフレームを採用した大型サイズで快適性抜群。助手席と後席は基本的に補助席だが、助手席はガソリン版に対して腰の落ち着きを高めたリファイン版になっている。2時間ほどのドライブならOKな印象だった。

【最新モデル試乗】夢広がるBEV。広く/静かで/力強い! ホンダN-VAN e:の電気のあるモータリング世界
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】夢広がるBEV。広く/静かで/力強い! ホンダN-VAN e:の電気のあるモータリング世界
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

 魅力は、走りの余裕だ。システムは64ps/162Nmのモーター(L4/FUN)とバッテリー容量29.6lWhの薄型IPUで構成。足回りはタイヤを13インチ化してエアボリュームを増やすとともに、サスペンションを最適チューン。ブレーキサイズの大径化と電動サーボの採用で、航続距離拡大とブレーキフィールを両立している。

 ボタン式走行セレクターでDをセレクトし、アクセルON。N-VAN e:はスムーズにそして力強くスタートした。通常領域ではアクセル操作にリニアに応え、ちょうどいい加速を披露。一方、アクセルをワイドオープンするとBEVらしい力強さが味わえる。そのセッティングは絶妙。まさにドライバーの意のままだ。開発陣の「運転しやすく、疲れない、安心なクルマを目指した」という説明どおりである。つねに静粛性が高いこともあり、走りの余裕と上質感はKカーを感じさせない。

【最新モデル試乗】夢広がるBEV。広く/静かで/力強い! ホンダN-VAN e:の電気のあるモータリング世界
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】夢広がるBEV。広く/静かで/力強い! ホンダN-VAN e:の電気のあるモータリング世界
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

 驚いたのは、走りの安定性だ。ワインディング路をちょっぴりハイペースで走っても、実に気持ちがいい。BEV化による低重心化と入念なサスチューンの成果だろう。まるでトレッドが大幅に広がったかのような印象を受けた。ブレーキフィールもしっかりとしており信頼性は抜群。しかも回生効率にも抜群に優れているという。乗り心地も快適だった。  N-VAN e:は、BEVが楽しい生活をサポートする存在であることを、改めて実感させてくれた。このクルマを輝かせるのはオーナーのアイデア。世界に誇る日本発のBEVである。

ホンダN-VAN e: 車両諸元

【最新モデル試乗】夢広がるBEV。広く/静かで/力強い! ホンダN-VAN e:の電気のあるモータリング世界
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

グレード=e:FUN
価格=291万9400円
全長×全幅×全高=3395×1475×1960mm
ホイールベース=2520mm
トレッド=前1310/後1315mm
車重=1140kg
モーター型式=交流同期電動機
モーター最大出力=47kW(64ps)
モーター最大トルク=162Nm(16.5kgm)
一充電走行距離(WLTPモード)=245km
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池(82.7Ah)
駆動用バッテリー総電圧=358V
サスペンション=前ストラット/後車軸式
ブレーキ=前ディスク/後ドラム
タイヤ&ホイール=145/80R13+スチール
駆動方式=FWD
乗車定員=4名
最小回転半径=4.6m