石川県能登半島を襲った記録的豪雨被害に心が痛む。100か所以上で川が氾濫し、至る所で土砂崩れが起こっている。特に元旦の地震被災者が住んでいた仮設住宅にも床上浸水が起こった様子が痛ましかったし、インタビューを受けた女性の「心が折れる」との言葉が胸に突き刺さった。

昨年のG7開催時、イタリアのメローニ首相は自国の洪水被害を理由に急遽帰国した。それと対比する形で岸田総理が批判されているが、テレビで映し出される能登半島の被害は悲惨だ。

100mmの雨でも大変だが、数日間で500mmを超える雨が降り、それが低地へと流れ込んでいくのだから、凄まじい勢いの濁流が生まれるのも当然だ。誰の目から見ても地震からの復旧が遅れている状況で、この豪雨はまさに「弱り目に祟り目」だ。倒れた家屋の撤去もあまり進んでいるように見えないし、この国はどうなっているのだろうか?

このような状況の中、2週間もの長さで自由民主党は総裁選挙を繰り広げているが、どこにいてもテレビやインターネットにアクセスができる今、多くの地域をドサ回りして、連日繰り返しメディアが同じような発言を取り上げることにどれだけの意味があるのだろうか?

「自民党総裁=内閣総理大臣」だから重要なのはわかるが、あまりにも露骨な党利党略によるメディアジャックに映ってしまう。

林官房長官は災害対策に尽くしておられるようだが、他の候補者ももっと被災地の人たちの心に寄り添ってほしいものだ。「弱者に寄り添い、誰も取り残さない」政治は言葉だけなのか?

石川県の大雨による被害状況等を説明する林芳正官房長官 首相官邸HPより

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年9月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。