日本配備の射程1000キロないし2000キロの大量の米中距離ミサイルは、北京・上海など中国本土を射程に収め、地上の航空機基地、ミサイル発射基地、集結した部隊、港湾内の主力艦、重要指揮・命令・統制・情報・通信関連施設などに重大な打撃を与えると見られる。

したがって、日本政府としては、対中抑止力を一段と強化するため、米国による日本への中距離ミサイル配備を認めるべきである。その場合、日本としては主権国家として日本配備の米中距離ミサイルについては、日米の共同管理・共同運用を配備の条件とすべきである。

絶大な対中抑止力

前記のとおり、中国外交部の林剣報道官は9月18日の定例記者会館で「中国は米国に対し、配備計画を断念するよう促す」と述べた。中国は日本への大量の米中距離ミサイル配備を恐れており、中国本土に届く中距離ミサイルは中国にとって脅威であり、日本にとって絶大な対中抑止力があることを示すものである。

中国は、「中華民族の偉大な復興」を最大の国家目標とし、米国を超える世界最大最強の軍事大国を目指し、台湾統一、太平洋への進出を目指している。尖閣諸島についても東シナ海に防空識別圏を設定し支配を常態化させ日本の実効支配を打破してきた(劉明福著「中国軍事強国への夢」2023年「文春新書」参照)。

今般の領空侵犯や領海侵犯、ブイの設置なども同じ意図に基づくものである。このような中国の意図は不変であるから、米国による日本への大量の中距離ミサイル配備を含め、日本国と日本国民を守るため、日本の防衛力強化と日米同盟の強化は必要不可欠である。