西洋美術史上に燦然と輝く名画伯、ゴッホの自然観察力は超能力レベルの凄まじさだった――。大気の乱気流を描いたゴッホの筆致は物理法則と一致していたのである。

■ゴッホの目には乱気流が見えていた!?

 20世紀の西洋美術史に多大な影響を与えたオランダのポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)は数々の作品を手がけているが、1889年にサン=レミの療養所で療養していた6月、アルピーユの山並みの上に輝く星々と三日月、そして渦巻く印象的な雲を描いた『星月夜(The Starry Night )』を手がけた。

アフリカの岩絵に“人類出現よりもはるか昔に生きていた絶滅種”が描かれている可能性
(画像=ゴッホ作『星月夜』 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)

 まるで鳴門海峡の渦潮のように渦巻いている夜空の雲だが、中国とフランスを拠点とする物理学者らはこのゴッホの筆致が実際の空の物理法則とどれほど一致しているのかに興味を持ち研究に取り組み、その研究成果を先ごろ「Physics of Fluids」で発表している。

 研究チームがゴッホの絵画を分析し、画家の空の描写に隠れた乱気流を発見した。

 隠れた乱気流を明らかにするために、研究チームは渦巻く雲を描いた絵の筆遣いを分析し、通常は見えない大気の形状、エネルギー、および大気の特性のスケールを調べた。

 絵画の中の14の主要な渦巻く形の空間スケールを調べてみると、その筆致は大気中の大規模な乱気流から小規模な乱気流への運動エネルギーの伝達を説明する「エネルギーカスケード」と一致していたのである。つまりゴッホの筆致は物理法則に則っていたのだ。

アフリカの岩絵に“人類出現よりもはるか昔に生きていた絶滅種”が描かれている可能性
(画像=画像は「Science Alert」より,『TOCANA』より 引用)

 研究チームによれば、自然現象に対するゴッホの深く直感的な理解が示されていると説明し、画家としてのゴッホの観察力が驚くべきほど鋭かったことを物語っているという。

 我々の目にはほとんど見えないが、地球の大気は絶えず動き、絶えず変化し、渦巻く流体である。大気の乱気流を詳細に理解するには、通常は目に見えない動きを注意深くマッピングする機器が必要だ。しかしゴッホはその肉眼で大気の動きを見て感じ取っていたことになる。

「最も著名なポスト印象派の画家の一人であるフィンセント・ファン・ゴッホは、乱気流を非常に注意深く観察していた。彼は渦巻きの大きさだけでなく、その相対的な距離や強さも絵画に再現することができた」と研究チームは言及している。

 ちなみにこの『星月夜』はニューヨーク近代美術館(MoMA)で展示されている。同美術館にはこのほかにも『ジョセフ・ルーランの肖像』と『オリーブの木』の計3点のゴッホ作品が展示されており、ニューヨーク観光では外せないスポットになるだろう。

提供元・TOCANA

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