現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、うえまつそうの新連載「島流し奇譚」。この連載では現役教師ならではの他にはない実話怪談を紹介する。第九回目となる今回は、「予知夢」にまつわる恐怖体験。
とある40代の男性の先生が勤務する高校での出来事。
学力も高く、派手にヤンチャする生徒もいない平和な学校だったという。
しかしたまに妙なコトが起きるそうで…
例えば、昼休みに誰もいない体育館からドン…ドン…ドン…と誰かがバスケットボールでドリブルをするような音がする。ガタタタン…生徒用玄関にあるジュースの自動販売機から勝手に飲み物が出てくる。
そんな幽霊の仕業なのか気のせいなのか、不思議な現象は耳にするのだが、どれも噂程度のものでこんなことは学校では良くある話である。
そんな学校に新入生として入学して来た女子生徒A子さん、普段は成績も良くスポーツも万能、性格も明るく、クラスでも人気者だったのだが、夏休み明け2学期が始まり登校してくると様子が変わっていたという。
よくあるのは高校生の夏休みで気持ちが高ぶって茶髪にしたり、内緒でピアスを開けたり良くも悪くも垢抜けるようなことは良くあるのだが、このA子さん、少し頬はこけ、目の下にはうっすらクマが出来ていて猫背でボーッとしている印象に変わっていた。笑顔も少なく「夏休み中に何かあったのかな」と職員室でも先生たちが心配するほど変貌していた。
そんなA子さんにいざ聞いても「いえ、何も…」とはぐらかされるような感じで話してもくれない。休み時間や昼休みになっても友達と遊ぶこともなく自分の席に座ったまま時折ニタニタしながらブツブツと独り言を言っている。
数日経って見かねた仲良しの女子たちが話しかけた。
「A子、最近元気ないけど大丈夫?もうすぐ文化祭だからさ、実行委員長のあなたがクラスのムードメーカーになって成功させようね!」
そう言うとA子さん「文化祭…ああ文化祭ね。火事が起きて大変なことに文化祭ね…」
1ヶ月後の文化祭当日、もつ鍋を出すクラスの火の不始末でボヤ騒ぎとなり危うく大火事になるところだったそうだ。
その日から「A子さんは予知能力者になったんだ、それと引き換えに性格も変わっちゃったんだ」そう学校中で囁かれ始めた。
しかし、真相は少し違っていた。後に親友のB子さんが教えてくれたところによると、どうやらA子さんは夢でこの先何が起きるかを見ていたのだ。
夢で見た光景をブツブツと休み時間に独り言で呟く、クラスメイトがそれを聞く限り、それが本当になっていたという。インフルエンザで学級閉鎖になるクラス、先生が事故に遭い怪我で入院など。
そんなある日の朝、いつも怖いほど物静かなA子さんが廊下で暴れて先生たちに取り押さえられていた。
「やめろ!離せ!やるんだよ!やらなきゃなんだよ!」
どうやらA子さんのカバンから大きめのカッターナイフが5本も刃を剥き出しにして見つかったという。そのまま親に連絡をして学校まで迎えに来てもらい、その日は帰宅した。翌日からも学校は休んでメンタルクリニックに通いながらしばらく自宅で療養することになったそうだ。
A子さんがカッターナイフを5本も持ちやらなければいけなかったこと…
それは夢でその40代男性教員を刺し殺す光景を見たからだと言う。
もしそれが実行されていたと思うと…あの時は脂汗をかくほどに本当に冷や冷やしました。
一体、A子さん夏休みに何があったんでしょう。。。
40代男性U先生、いや、うえまつ先生の体験談でした。
夏休みが終わりに近づくといつも背中がゾッとするのは、この出来事以降な気がしています。
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文=うえまつそう
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提供元・TOCANA
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