要因1:カウンター精度の高さ

同試合、目立ったのは横浜FCのカウンター精度の高さだった。4得点のうち、2得点はカウンターから生まれている。相手ボールを回収する回数の多さ、カウンター時の各選手のランニングポジションの良さ、手数をかけないでゴールに至る速さ。ボールを自分たちのものにし、シュートまでの過程が非常に美しかったと言えよう。

象徴的なのは3点目の62分のシーンだ。結果的に横浜FMエドゥアルドが足に当ててオウンゴールにはなったが、そうでなくとも山下が決めていたであろう。山下と伊藤が、離れすぎず遠すぎずの距離感でランニングを開始し、それを追いかけるようにMF山根永遠と林がランニング。このスピードで4人が関わるカウンターはかなりの威力を発揮した。横浜FMはこのカウンターによって試合に負けたとも言える。


横浜FC MF井上潮音 写真:Getty Images

要因2:攻撃の手数をかけない

横浜FCが2023シーズン上位チームを破った試合は、攻撃の手数をかけていないという傾向がある。

象徴的なのは36分の林の得点シーンである。林にはコーナーキッカーの井上にボールを戻し、再度クロスを上げる選択肢も十分にあったはずだが、思い切りシュートを打った。ボールがこぼれてきた際に林はゴールしか見ておらず、手数をかけずにシュートへいく意思を感じられた。

また、ゴールに至らなかったが68分にも攻撃の手数をかけない象徴的なシーンがあった。左サイドでボールを持った井上が中央のDF岩武克弥へパスをつなぐと、岩武はボールをサイドへ出さず、中央からゴール前へ浮き球のパスを入れた。一連のプレーは最終的にユーリのシュートにまでつながり、ボールをゴール近くまで素早く運ぶことによる得点チャンスを増やす意図があったと考えられる。


横浜FC GK永井堅梧 写真:Getty Images

要因3:守備で我慢し追加点を許さなかった

同試合前半は、リーグ屈指の攻撃力を誇る横浜FMに先制される流れとなり、我慢の時間帯が続いた。そんななかで力を発揮したのがGK永井堅梧である。

永井がいなければ、前半で横浜FMがゲームを決めていたであろう。ディフェンス陣と共にペナルティーエリア内に相手の侵入を許さない、または侵入してきた相手をストップする永井の総合的なディフェンス力が目立った。