日産ノートはパワートレーンを第2世代のe-POWERに絞って、2020年に3代目にフルモデルチェンジした。2022年度の国内販売台数は電動車でNo.1を達成するなど、ヒットモデルの常連となっている。ライバルが多いコンパクトカーの中で、どのように存在感を打ち出しているのか。今回は2023年12月にマイナーチェンジを受けた最新モデルに試乗してみた。

【ヒットの真相】 日産ノートコンパクトカーでトップレベルの広い室内!

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 e-POWER(イーパワー)という言葉を、世に知らしめた立役者が日産ノート。詳しくはよくわからないけど、「なんだかスゴイらしい。燃費がいいらしい。環境にいいらしい。これって電気自動車なの?」という具合に、実態はよくわからないけれど、なんだかすごいらしいぞe-POWERという感じで世に広まっていった気がします。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 とはいえ、日産ノートの初代が登場したのは2005年のこと。この頃はまだe-POWERはなく、いわゆる普通のガソリン車のコンパクトカーでした。その当時のノートといえば、コンパクトカーの中では、室内も荷室も広いというパッケージングのよさが最大の特徴で、その広さをホンダのフィットと競い合っていた……そんな存在だったと思います。そんな利便性が買われて、もともと人気は高かったのですが、その後2代目ノートが2012年に発売となり、その途中の2016年からe-POWERが登場し、世間を圧倒することになるわけです。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 これを読んでいらっしゃるみなさまはご存じかもしれませんが、おさらいということで、簡単にe-POWERの説明をしておきますと、ガソリンエンジンを発電機として使い、その電気でモーターを動かし、モーターで走るクルマとなります。つまり、他社のハイブリッドカーのようにガソリンエンジンを駆動に使うことはせず、あくまで発電機として使っています。そういう意味では、マツダMX-30ロータリーEVに近い感じですね。駆動は電気モーターオンリーというわけです。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 なので、走っている感覚は電気自動車(BEV)に近いのですが、発電するためにエンジンが掛かるので、音的にはガソリン車に近いという不思議な感じのクルマです。  誤解を恐れずに正直にいいますと、このエンジンが掛かったときの音が、当初のe-POWERは騒々しかったんですよ。掛かってないときが静かなのでそのギャップが大きく、余計に目立ってしまうんですよね。エンジンが掛かる回数も多かったので、正直なところ耳障りに感じる場合もありました。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 さらに、当初のe-POWERは思ったよりも燃費が伸び悩む感じだったんですよね。というのも、当初のエンジンはe-POWER専用開発ではなかったため、発電用と考えると排気量がいまよりもやや大きめだったりしたことが、大きく影響していたんだそうです。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 しかし、現行モデルのe-POWERは第2世代となり、エンジンはもちろんのこと、モーターとインバーターまで刷新されています。とくに加速性能が向上したことで、モーター特有のパワフルで気持ちのいい発進加速をはじめ、中高速からの追い越しでの力強い加速感が出たことで扱いやすさがアップ。インバーターの小型軽量化と、エンジンの高効率化も相まって、かなり燃費性能が向上したのは注目ポイントといえます。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 併せてエンジンの作動頻度が少なくなったため、掛かっているときと掛かっていないときの静粛性の違いが少なくなりました。さらにユニークなのは、路面状態からロードノイズが大きいと判断した場合には、積極的にエンジンを掛けて発電を行う制御システムを世界で初めて開発したところ。ロードノイズよりは、静かになったエンジンノイズのほうがまだいいだろうという判断で、全体的な静粛感を高めたという配慮なのでしょう。もちろんその手前の遮音性にも気が遣われています。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 とはいえ、静粛性の高さでいったら、ノートの上にはノート・オーラが存在しているので、なかなか難しいところではあるのですが、旧型ほどは気にならなくなったというのが正直な感想でしょうか。静粛性にこだわりたいユーザーには、やはりノート・オーラをお勧めしたいところです。ただし、もっとカジュアルに使いたいという方の落としどころとしては、十分に進化のほどが感じられると言い切れます。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 そして、元々ノートの伝統でもいいましょうか、パッケージングのよさはしっかり受け継がれているのは美点ですよね。個人的にはソファっぽいシートの形状が、ややドライビングポジションが取りにくかったりするのですが、大柄の男性でも物足りなさを感じることなくドライビングできるという点が、ノートの長所だったりもします。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 後部座席も見た目よりもかなり広さがあるので、ファミリーカーとしても十分使える、オールマイティ性の高さがノートのいちばんの魅力です。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 走り味は、駆動がオールモーターのため、ダイレクト感がやはり違うんですよね。とくに街中のチョコチョコ乗りなどでは、このダイレクト感がストレスを軽減してくれると思います。  クセがなく素直なので、誰もが思ったとおりに操れる正統派といっていいと思います。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 そんな新鮮に感じられるシステムを、誰もが受け入れやすいカタチで具現化し、わかりやすく表現したのがノートのヒットの真相ではないでしょうか。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

ノート「ヒットの真相」
1)第2世代のe-POWERを搭載してよりパワフルになった。静粛性が向上して快適な移動ができるだけでなく、燃費性能も向上

2)モーターでの駆動のためダイレクト感があって走りが気持ちいい! 日常の街乗りでも扱いやすくストレスなくスイスイと走れる

3)限られたサイズの中でも広い居住空間と荷室空間を実現。日常での使い勝手のよさも進化させ、総合力が高い

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

たけおかけい/各種メディアやリアルイベントで、多方面からクルマとカーライフにアプローチ。その一方で官公庁や道路会社等の委員なども務める。レースやラリーにもドライバーとして長年参戦。日本自動車ジャーナリスト協会・副会長。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

竹岡圭 K&コンパクトカー【ヒットの真相】 日産ノート「コンパクトカーでトップレベルの広い室内!」(2024年9月号)
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

提供元・CAR and DRIVER

【関連記事】
「新世代日産」e-POWER搭載の代表2モデル。新型ノートとキックス、トータルではどうなのか
最近よく見かける新型メルセデスGクラス、その本命G350dの気になるパワフルフィール
コンパクトSUV特集:全長3995mm/小さくて安い。最近、良く見かけるトヨタ・ライズに乗ってみた
2020年の国内新車販売で10万台以上を達成した7モデルとは何か
Jeepグランドチェロキー初の3列シート仕様が米国デビュ