中山雅史氏(左)サルバトーレ・スキラッチ氏(中)武田修宏氏(右)写真:Getty Images

 1990年に開催されたFIFAワールドカップ・イタリア大会(イタリアW杯)で得点王とMVPに輝き、ジュビロ磐田でも93試合中65ゴールと驚異的な得点力を誇っていた元イタリア代表FWサルバトーレ・スキラッチ氏が、9月18日に59歳の若さで逝去したことをイタリアサッカー連盟やジュビロ磐田などが発表した。

 イタリアのスポーツ紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』によると、スキラッチ氏は2年前より結腸癌を患っており、2度の手術を受けるなど闘病生活を送っていたという。

 イタリアW杯時、大会当初はスタメンから外れていたスキラッチ氏だが、途中から先発に定着し高い技術と本能的なプレーで6ゴールを決めチームの3位入賞に貢献している。1982年にイタリアのACRメッシーナでキャリアをスタートさせたスキラッチ氏は、後に名門のユベントスやインテル・ミラノでもプレーした実績を持つ。その後、1994年に来日し1997年まで磐田に在籍。93試合で65ゴールと驚異的な数字を叩き出し、日本のストライカーに大きな影響を与えた。選手やファンからは「トト」の愛称で親しまれ、磐田のレジェンドとしてクラブの歴史に名を刻んでいる。

 現役時代にツートップを組んでいた中山雅史氏は「相棒の早すぎる旅立ちに悔しさしかありません。偉大なストライカーとプレーできたことは僕の財産として輝いています」とコメント。同じく磐田で共にプレーした武田修宏氏も「W杯得点王で憧れの存在でした。練習中に乱闘になって前歯が折れたのも今ではいい思い出です」と追悼のコメントを寄せている。

 スキラッチ氏は1999年に現役を引退すると、その後はイタリアの故郷パレルモでサッカースクールを運営しながら解説者やタレントとして活動。また、慈善活動にも積極的に取り組み、多くの人々に愛されていた。