なぜこのシステムが今まで存在しなかったのか?
この新しい技術について耳にした人々は、そのアイデアを称えつつも、「なぜ、今まで存在しなかったのか」とコメントしています。
確かに、「小型の携帯基地局をヘリコプターで飛ばす」というアイデア自体は、誰もが思いつきそうなものですね。
しかし、ヘリコプターに搭載できるほど小型化し、広い範囲をカバーできるようにすることは技術的に言うほど簡単なことではありません。
また非常にマイナーな装置であり市場も大きくないため、メーカー側も積極的に開発に乗り出せないという事情もあります。
さらに、法的な面で許可が必要であるため、このあたりも導入までに時間がかかってしまう理由であり、なかなか挑戦するメーカーが出なかった原因でしょう。
そして、このシステムには利用者側の問題もあります。
それは、「遭難者が携帯電話の電源をONにしておかねばならない」という点です。
山や森のような電波が届かない場所では、携帯電話は電波を探そうとして電力をいつも以上に消費してしまいます。
そのため、ある救助隊関係者は、次のように述べています。
「私たちは、携帯電話の電源を切るか、機内モードにするか、あるいはできるだけバッテリーを節約するよう人々を指導しています」
確かに、その方法はほとんどのケースで適切ですが、ライフシーカーとは相性がよくありません。
そのため、もしライフシーカーによる救助活動が導入されているのであれば、自分が遭難した時には、携帯電話の電源を入れて電波が届くようにしておく必要があるでしょう。
いくつかの課題は残るものの、ライフシーカーの導入によって、一人でも多くの命が救われて欲しいものです。
参考文献
New technology may help find missing people in Colorado’s backcountry within minutes
New Tech May Help Find Missing People In the Backcountry Within Minutes
The Airborne Phone Location System
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。