旧約聖書で描かれている“ノアの方舟”には原作があった!? 紀元前2600年にもさかのぼる「ギルガメシュ叙事詩」には古代の大洪水のストーリーが綴られているのだ。
■“ギルガメシュ洪水神話”は“ノアの方舟”の原作なのか!?
古代メソポタミア神話の英雄、ギルガメシュはおそらくシュメールの都市国家ウルクの歴史的な王であり、紀元前1000年頃の初期王朝時代を統治していたと考えられている。
そしてこのギルガメシュは紀元前2千年紀後半にアッカド語で書かれた叙事詩『ギルガメシュ叙事詩』の主人公でもある。
粘土板12枚に綴られている『ギルガメシュ叙事詩』なのだが、11番目の粘土板の断片には、バビロンを襲った大洪水を描写したストーリーが刻まれており、“ギルガメシュ洪水神話”と呼ばれている。
古代に起きた大洪水といえば旧約聖書の“ノアの方舟”のストーリーだが、その内容に酷似しているのがこの“ギルガメシュ洪水神話”なのだ。これは歴史的シンクロニシティなのだろうか。
石板には、神々が洪水を起こして地球を滅ぼした様子が描かれているのだが、収蔵している大英博物館によると、神が古代王国の統治者であるウトゥナピシュティムに洪水の計画を知らせ、自分と家族、そして「あらゆる種類の鳥や獣」を救うための大型船を造るよう指示したという。
旧約聖書の「創世記」と同じように、船上のサバイバーたちは鳥を放ち、水が引いて陸地が出現したかどうかを確認した。その後、ウトゥナピシュティムはギルガメシュに自分の体験を語るのだ。
『ギルガメシュ叙事詩』は世界最古の物語といわれ、ヘブライ語の聖書が書かれるずっと前から広まっていたことが示唆されている。つまり『ギルガメシュ叙事詩』がノアの方舟の物語の“原作”だった可能性があるのだ。
それまでヨーロッパの人々は聖書が世界最古の著作物であると信じていたので、それに先行する物語の原型があったことに大いに驚かされることになった。
現在のイラクの一部である古代メソポタミアではある時期にかなり大きな洪水があったことが示唆されており、その記憶が長く伝承に残され『ギルガメシュ叙事詩』に取り入れられたと考えられなくもない。とすれば決して神話上の話ではなかったことになり、地球のどこかで再びこのような歴史的な大洪水が起きないとも限らない。これからの時期は特に水害への備えが必要とされてくるだろう。
参考:「Live Science」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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