科学者らが、「超大質量ブラックホール(※1)が目を覚ましたかのように、周囲のあらゆるものを吸い込み始めた」ことを観測たという驚きの報告を行っている。
7月4日にアメリカのカーディフで開催された年次全国天文学会議にて、バーミンガム大学の天文学者サマンサ・オーツらがJ221951と呼ばれる巨大ブラックホールが、巨大な光り輝くフレアを吐き出した後に活発に活動し始めたと報告。この現象はJ221951にスイッチが入り、周囲のすべての物質を急速に吸収しだしたことによるもので、これまで記録された中で最も明るい過渡現象(※天体の明るさが急激に変化する現象)が観測されたと述べている。
アイルランド・クイーンズ大学ベルファスの天文学チームのメンバーで、論文の共著者であるマット・ニコル氏は「超大質量ブラックホールができるさまざまなことについての我々の理解は、引き裂かれる星の発見や、光度が大きく変化するブラックホールの発見によって、近年大きく広がっている。J221951は、ブラックホールが我々を驚かせた最も極端な例の一つである」と述べている。
超大質量ブラックホールは、宇宙のすべての銀河の中心にあると考えられている天体だ。たとえば我々の天の川銀河は、いて座A*という超巨大ブラックホールの周りを回っている。通常、ブラックホールは消費する物質が近くにないため、あまり活発ではない。しかし物質が消費されると、大規模なフレアを放出する。J221951は、この意味で非常に長い間活動していなかったブラックホールだった。しかし今回J221951が放ったフレアの明るさは、大量の物質を急速に食い尽くしたことを示唆している。
専門家によれば、これは2つの方法で起こった可能性があるという。1つは恒星がJ221951の近くを通過して食い尽くされた(潮汐破壊と呼ばれるプロセス)というもので、また別の説は常に近くに物質が存在していたが、ブラックホールが突然休眠状態から活動状態に切り替わったというものだ。
ニコルは氏は「J221951を継続的に観測し、全エネルギー放出を調べれば、これが高速回転するブラックホールによる星の潮汐崩壊なのか、それとも新しい種類のAGN(活動銀河核)が始動したものなのかがわかるかもしれない 」と付け加えている。
なお、今回の発見の詳細は、学術誌『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』に掲載される予定だ。
(※1)太陽の10万倍から100億倍程度の質量を持つブラックホール。
参考:「Daily Star」ほか
【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
文=勝木孝幸(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
提供元・TOCANA
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