東京都の調査は「のんびり」
環境省は1月30日、PFASに関して専門家会議を開催し、科学的な知見に基づいた対策を検討すると発表。
これまで、東京都の調査は随分とのんびりしている。2021年から都内260カ所の地下水でPFAS濃度の調査が開始された、調査が広範囲に及ぶことを理由に、すべての結果公表は4年後の2025年予定とされていた。
東京都水道局(多摩地区)に取材したところ、目標値を即座に変えるつもりはないそうだ。
「国によって目標値は異なりますし、ドイツの目標値は(井戸水、水道水に特化したものではなく)環境汚染に関するものですよね。日本では令和2年4月1日に有機フッ素化合物の暫定目標値を『PFOS及びPFOAの量の和として50 ng/L以下(体重50kgの人が一生涯、毎日2リットル飲用しても問題ないとされる値)』としています。
水道局では、定期的に検査を行い、給水栓(蛇口)における濃度が暫定目標値を下回るよう管理しています。給水栓(蛇口)において暫定目標値を超過した場合は、PFOS及びPFOAの濃度が高い井戸の運用を停止する等の対応を行っています。
今後も継続してPFOS及びPFOAの検査を行い、水道水で安定的に目標値を下回るよう管理を徹底していきます」(東京都水道局)
また、「汚染源は米国基地ではないか」という疑問に関しても、「消火剤は米軍基地以外からも流出しているので、汚染源が米軍基地とは限らない」として、同局は懐疑的な見解を示した。
汚染源が米軍基地だと限らないにしても、専門家がその可能性を主張しているのなら、東京都は真摯にこの問題に取り組み、米軍基地も調査すべきだ。
実際、2020年4月に米軍普天間基地から約22万7100リットル(原液ではなく水で希釈された量)のPFAS含有泡消火剤の漏出事故があり、このうち約14万3830リットルが民間地の河川や海に流出した。同基地では2021年8月、米軍が約6万4000リットルものPFAS含有水を日本政府や地元の合意なく公共下水道に放出して政治問題になった。
ただし、日米地位協定がある以上、基地の土壌を立ち入り調査できるのは「環境に影響を及ぼす事故(漏出)が現に発生した場合」に限られてしまう。米軍基地含め大規模で迅速な調査を進めるために、東京都はまず「永遠の化学物質」による環境汚染を正式な公害と認めるべきではないか。
(文=深月ユリア/ジャーナリスト:外部執筆者)
提供元・Business Journal
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