オーストラリアは国も人も大きいですが、アートも大胆!観光地として注目されにくい穀倉地帯で、あるものを使ったアートで町おこしをしています。

目次

  1. オーストラリアの穀倉地帯の景色
  2. サイロアートとは
  3. 西オーストラリア州のサイロアートの紹介
  4. さいごに

オーストラリアの穀倉地帯の景色

オーストラリアの観光地でもない田舎はとても閑散としています。これは世界共通なことかと思いますが、国土が広く人口が少ないオーストラリアの田舎ではこれが顕著です。

特に海辺でも砂漠でもなく、特別な経験ができる旅行先として選ばれにくい穀倉地帯はどこまでいっても農地が広がるだけで景色が同じに見えます。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

私のようにファーマーであると、各地の穀物や土壌、気候の違いによる栽培方法、使用重機の違いに興味を持って眺めていられますが、それでも飽きてきます。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<うちの地域よりも土が赤い!トラクターのタイヤが多い!!>

際立った楽しみといえば、毎年8月から1ヶ月間ほど見られるカノーラ畑でしょうか。匂いが独特なので好き嫌いは分かれますが、まばゆい黄色がどこまでも広がる様子は圧巻です!

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)
オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

しかし毎年問題になるのが、このカノーラ畑の写真を撮ろうと不法侵入する人の存在です。敷地の外から写真を撮るだけならば問題はありませんが、許可なしで敷地の中に入ってはいけません。

そして、いちばん最悪なのが畑の中に入ること。これは数年前に花畑の中に佇む姿の写真がSNSで拡散され、自分もやってみたい!という人が増えたということがありました。

畑の中に入り込むということは作物を踏み倒す行為であり、それ以上にファーマーが懸念しているのは病気の持ち込みです。この病気とは、その人の靴や服、あるいはタイヤに付いているかもしれない植物の種や虫、菌のこと。一般の人が思っている以上にファーマーはこれらに気をつかっており、最も恐れているものでもあります。

サイロアートとは

そんな穀倉地帯ですが、穀倉地帯にしかないあるものを使って、あるアートが流行っています。それはサイロ!

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

サイロとは穀物全般の貯蔵庫のことです。個々のファームで採れたものをそこへ収集し、そこから国内・国外へと搬送されていくので、穀物地帯の中心となる町には大きなサイロがあります。

大きさはそれぞれ違いますが、小さいものでも直径10m以上・高さ25m以上で、それが穀物の種類別にいくつか並んでいる状態です。そのサイロを巨大キャンバスとして壁画を施したものをサイロアートと呼びます。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

描かれているものはその土地の歴史や住む人、自然の様子などで、それぞれにストーリー性があります。最も古いサイロアートは2015年に西オーストラリア州のノーザムのもので、そこから全国へと広がり今では国内に約60個のサイロアートが8,500kmに渡って点在しているようです。

実はこれ、サイロアートを取りまとめるサイトがあり、サイロアートを巡る旅を『サイロアート・トレイル』と称して穀倉地帯の旅をおすすめしています!サイロアート・トレイルは町おこしに大貢献しているアトラクションなのです。

西オーストラリア州のサイロアートの紹介

私の住む西オーストラリア州には全部で6個のサイロアートがありますが、私はこれまでに5個見ています。どれも個性があって素敵です。

Newdegate(ニューディゲート)

パースから南東に約400kmのところにあるこの町のサイロアートには、4つのサイロのうち3つにこの地域で見られる野生動物が描かれています。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

向かって左の1つだけ何か雰囲気が違うのですが、これは町の様子をシンボル化したものらしいです。ど真ん中の水滴の半分の白は塩湖を、青は雨水を表現し、背景の茶色と緑の正方形は上空から見た町の様子で緑はブッシュを、茶色は赤土や岩を表現しています。

Merredin(メリディン)

パースから北東に約250kmのところにあるこの町は、実はパースからの長距離電車も通っており、穀倉地帯では農業の歴史もありとても重要な場所です。

この町にあるサイロは南半球で最大のものであり、その大きさなんと長さ610m高さ59mもあります!その一部にペイントされているサイロアートがこちら。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

幾何学的なスタイルを使って、町の景観と合うような色使いをされているのが特徴です。

Pingrup(ピングラップ)

パースから南東に約380kmのところにある小さな町のサイロアート。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

この町では歴史ある競馬とメリノウールの羊が有名です。また右側のサイロにはトラクターに犬が乗っていますが、この犬はオーストラリアの牧羊犬として人気のケルピーという犬種です。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

Ravensthorpe(ラベンスソープ)

パースから南東に約540kmのところにあるこの町のサイロアートは、裏にも表にもペイントしてあるという珍しいパターン。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

描かれているのはこのエリアに生息するオーストラリアの固有種であるワイルドフラワーのバンクシア。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

3つのサイロの裏表に描かれているので合計で6つの絵があるということですが、これは花の成長段階を表現しています。

そうとは知らず、私は花が咲いて種になる側しか見ていませんでした。。。やはり、こういった事前学習は大事ですね。

Albany(アルバニー)

パースから南東に約400kmのところにあるこの街は、これまで紹介した町とは違って人口3万人と西オーストラリア州内で6番目に大きな街になります。アルバニーは穀倉地帯に近い港町なのでサイロは港にあります。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

アルバニーのサイロアートには、世界中でのこの地域のみで見られるリーフィーシードラゴンが描かれており、それが4つのサイロに渡って描かれているのが特徴です。

オーストラリアの穀倉地帯のサイロアートを巡ろう!
(画像=『たびこふれ』より 引用)

この他にも私のまだ見たことのないNortham(ノーザム)のサイロアートや、他州のものの詳細はこちらのサイトからチェックできます。

さいごに

どこまでも続く農地に突如現れるサイロアート巡りはロードトリップの楽しみのひとつです。今年中には州内のまだ見ぬ残り1つを見に行き、そのうち州外のものも見に行きたいと思います。

文・写真・ナイーブME/提供元・たびこふれ

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