いつか人とクジラは話せるようになるのか?
今回の発見について、プロジェクトCETIの責任者であるグルーバ―氏(David Gruber)は、「氷山の一角をみただけにすぎない」と述べています。
マッコウクジラのアルファベットと呼べるものが発見されたことは、彼らがより多様な情報を伝えられることを示唆しますが、「本当に組み合わせの一つ一つに意味があるのか?」、もし意味があるのならば「実際になにを伝えあっているのか?」についてはまだ全くわかっていません。
ただし、グルーバ―氏(David Gruber)は続けて「マッコウクジラがこのような組み合わせの基礎を持っているという事実は、すでに非常に興味深いことなのです」とも述べています。
まだまだ、私たちがヒト以外の動物とおしゃべりできるようになる日は遠いのかもしれません。もしかしたら、おしゃべりできるようになる日など、一生こないのかもしれません。
しかし、過去から現在まで、私たちは動物と話すことを夢見てきました。そして、その夢を叶えようと研究者たちは挑戦を続けています。
動物の多様なコミュニケーションにもっと注意深く目を向けてみたら、動物たちも人間と同じぐらい洗練されたコミュニケーション手段をもっていることに気がつくかもしれません。
知的探求心をもって動物たちの言葉を解明していけば、いつか人間が動物たちと語り合える日も来るかもしれません。
参考文献
Project CETI
Could a newly discovered sperm whale ‘alphabet’ be deciphered by humans?
元論文
Contextual and combinatorial structure in sperm whale vocalisations
ライター
近本 賢司: 動物行動学,動物生態学の研究をしている博士学生です.動物たちの不思議な行動や生態をわかりやすくお伝えします.
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。