天文学者たちは、火星にスマイリーフェイスの形をした構造を発見した。これは単なる惑星の奇観ではなく、古代の生命の兆候を隠している可能性がある。
この笑顔の形成は、一対のクレーターの目と、古代の塩の堆積物の輪で構成されている。これらの堆積物は、はるか昔に干上がった古代の水体の名残であり、赤外線カメラで観測した場合にのみ見える、絵文字のような残骸を残している。
写真を撮影した欧州宇宙機関(ESA)は、「これらの堆積物は、古代の水体の残骸であり、数十億年前の居住可能区域を示している可能性がある」と述べている。
科学者たちはこのスマイリーフェイスの正確な大きさを把握していないが、これは最近火星の表面で記録された965個の塩の堆積物の1つであり、その大きさは約300メートルから約3,000メートルと幅広い。
塩の堆積物は、惑星の表面に見られる塩、つまり塩化物の蓄積である。火星の塩の堆積物は、数十億年前、惑星が大きな気候変動を経験した際に干上がった古代の水体の名残である。
ESAによると、火星の最後の水たまりが消滅する前は、微生物の生命にとっての「安息地」だった可能性があるという。これらの水たまりは非常に塩分濃度が高かったため、かつてそこに生息していた微生物の残骸が、このスマイリーフェイスのような堆積物の中に隠されて、今日まで保存されている可能性がある。
この画像は、2016年から火星の大気中のメタンやその他のガスの濃度を測定している、ESAの探査機、エクソマーズ・トレース・ガス・オービター (ExoMars Trace Gas Orbiter, TGO)によって撮影された。これは、科学者が火星の生物学的または地質学的活動の可能性を理解するのに役立つ。
通常、火星の表面にある塩の堆積物は見えない。しかし、オービターの赤外線カメラを使えば、ピンクや紫に光って見えるため、今回のスマイリーフェイスが明らかになった。
この画像は、学術誌「Scientific Data」に掲載された研究の一環として発表されたものだ。この研究では、スウェーデンのベルン大学の科学者たちが中心となり、TGOが撮影した画像を元に、火星の表面全体にある塩化物塩の堆積物を分析し、詳細なカタログを作成した。
その結果、驚くべきことに約1,000個もの堆積物が確認された。
「これらの堆積物は、数十億年前の火星が、現在の赤い砂漠の姿とは全く異なる、豊富な水を持つ惑星であったことを示す紛れもない証拠です」と、研究の筆頭著者であるヴァレンティン・ビッケル氏は語る。
さらに「遠い昔、火星には川が流れ、湖や海が存在し、三角州すら形成されていた可能性があります。しかし、30億年から20億年前に起こったと考えられる気候変動により、これらの水は干上がってしまったのです」と付け加えている。
太古の火星に広がっていた、水と生命の物語。その謎を解き明かす鍵は、もしかしたら、この笑顔が握っているのかもしれない。
文=黒蠍けいすけ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
提供元・TOCANA
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