しかしこの空前のウサギブームは思わぬ形で終わりを迎えます。

1873年(明治6年)12月東京府は、ウサギの売買をするものは役所に届け出をすること、ウサギを飼育する者は1羽あたり毎月1円(現在の価値で2万円)の税金を払うこと、届け出なしでウサギの売買を行ったものは1羽あたり2円(現在の価値で4万円)の罰金を徴収すること、という通達を出しました。

これによりウサギの価格は大暴落し、子ウサギは2銭(現在の価値で400円、なお100銭=1円である),妊娠したウサギは5銭(現在の価値で1000円)という超安値で叩き売られることとなったのです。

それを受けウサギの売買を行っていたものは大打撃を受け、ウサギ税のない地方へと逃げるものウサギを床下に隠して税金を逃れようとするものなどが相次ぎました。

もちろんそれにより没落する人も数多く、年末の東京は大混乱に陥ったのです。

大量に飼われていたウサギは超安価にて売り払われましたが、中には処分に困った商人により殺されたり川に流されたりするウサギも少なくありませんでした。

なおウサギ税の話は事前に一部の華族や士族には流れており、彼らは布告の前にウサギを売りぬくことによって暴落を免れました。

もちろんこれはれっきとしたインサイダー取引であり、現代では厳しく禁じられていますが、当時はまだ法律が整備されていなかったこともあり、特に問題にはならなかったのです。

このような投機ブームは歴史上何度も起こっており、そのほとんどが破滅的な結末を迎えていますが、明治初頭のウサギブームは投機対象が動物であったということもあり、他の投機ブームと比べて悲惨な末路になったと感じる次第です。

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参考文献

明治初期の兎投機 : 「開化物」とメディアから見えてくるもの
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/31144