建物をしっかり支えるはずの柱が地面から浮いていたら――。インドのあるヒンドゥー寺院には、不可解な“吊り柱”がある。
■インド寺院の謎の“吊り柱”
インドのアーンドラ・プラデーシュ州南部の町、レパクシに建っているシュリー・ヴィーラバドラ寺院の歴史は16世紀にまでさかのぼり、アチュタ・デーヴァ・ラーヤ王の治世中にヴィジャヤナガル王国の総督であった2人の兄弟、ヴィルパンナ・ナーヤカとヴィランナ・ナーヤカが手がけた建築物である。
寺院の屋根を支える彫刻が施された70本の花崗岩の柱のうち、きわめて興味深い柱が1本ある。この柱はほんの僅か、床から浮いているのである。これは「レパクシの吊り柱」として知られ、知らずに来た訪問者を驚かせている。
複雑な彫刻で装飾されている柱の高さは4.6メートルで、柱ごと天井からぶら下がっているように見える。
植民地時代にイギリスの技術者が謎を解明しようと柱を動かそうと試み、その結果寺院の屋根の一部が崩壊した。
柱は実際には中空であり、それにより重量が大幅に軽減されると指摘する者もいるが証明されていない。
観光ガイドが余興で見学者に布地や紙を渡して柱と床の隙間に滑り込ませたりもしているが、柱の四隅の1つが接地しているようで、紙や布はそこで引っかかるようだ。
なぜこの1本だけ浮いているのかは謎だが、学者の多くはこの地域で地震活動があったため、何らかの耐震設計であると考えているようだ。
あるいは建設中のミスや地震によって浮いているように見える位置に動いた可能性もある。
ユネスコはこの遺跡について「彫刻、音楽家、神々、女神、ダンサーの像が精巧に彫られたナティヤ・マンダパの柱などの建築的、装飾的な要素は、16世紀の南インドの芸術家や職人の技術が凝縮されたことを示しています」と記している。
「花崗岩の巨石から彫られたナガ・シヴァ・リンガや一枚岩の雄牛(ナンディ)などの一枚岩の彫刻は、ヴィジャヤナガル時代の生きた伝統や習慣、そしてインドにおける彫刻表現の進化とのつながりを確立しています。これは当時、その地域の芸術家の間で知識の活発な交換に貢献しました」(ユネスコ)
きわめて優れた設計で建てられたはずのこの寺院になぜこの柱があるのかは依然として謎だが、寺院見学の見所になっていることは間違いない。もしインドを観光する機会がある際には見物スケジュールに組み込んでみてもよいのだろう。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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