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図は2015年のパリ協定合意以降(2023年上期まで)の石炭火力発電の増加量(赤)と減少量(緑)である。単位はギガワット(GW)=100万キロワットで、だいたい原子力発電所1基分に相当する。

これを見ると欧州と北米では石炭火力発電所は減っているが、アジアでは増えている。とくに中国は爆増してきた。

今回の図も前回に続き米国Energy Policy Resaerc Foundationが公開しているものである。

欧州で減ってきたのは歴史的な理由だ。冷戦期までは石炭を多く使っていたが、その後はロシアが供給する安価なガスの方が経済性がよくなったので、石炭は要らなくなった。

北米もシェールガスの開発成功によってガス火力発電所の経済性が高くなり、石炭火力発電は廃止されていった。

欧州も米州も、いくらかは温暖化対策の効果もあるにしても、石炭火力よりも安価なガス火力があったという経済的な理由が大きい。

アジアにはこのような恩恵は無かったから、電力需要に対応するためには石炭火力発電は有力な選択肢だった。これは今後も変わらない。

欧米はやたらと「脱石炭」と言うようになったが、経済性の優れた代替手段があったから言えたことだ。

ロシアからの安価なガス供給が乏しくなったことで、欧州はいまエネルギー価格高騰に苦しんでいる。今後はどうなるだろうか。