日本全国どこにでもあるコンビニチェーン「セブンイレブン」。みなさんは、セブンイレブンが元々はアメリカの会社だったことをご存じでしょうか?現在は、日本のセブンイレブン・ジャパンが親会社となっています。
目次
パッとしないアメリカのセブンイレブン
私はずっと前から、セブンイレブンが元々はアメリカの会社だと知っていましたが、アメリカでセブンイレブンの店舗を見かけることなどほとんどなく、あっても郊外の大きな通りにポツンとあったり、街なかの意外なところにひっそりあったりするぐらいのもので、日本とは全く違う存在感に驚いたものでした。
中に入っても暗い感じで、雑に陳列された商品は購買意識をそそらず、ソーダファウンテンと呼ばれるセルフサービスのソーダマシン、フローズンドリンク「Slurpee」やコーヒーのマシン、何時間放置されているのかわからないブリトーやホットドッグなども、ちょっと遠慮したい感じでした。
ところがいつの間にやら店舗数が瞬く間に増え、あちこちでセブンイレブンを見かけるようになりました。試しに入ってみると、置いている商品や陳列方法も少しずつ変わってきたような感じです。これはやはり、日本のセブンイレブンが親会社となった影響でしょうか。
セブンイレブンの歴史
ここでちょっと、セブンイレブンの歴史を勉強しましょう。興味がなければスルーして下さい。
セブンイレブンの前身は、1927年創業のテキサス州ダラスの氷販売会社「サウスランド・アイス・カンパニー(Southland Ice Company)」でした。
当時は家庭用の電気冷蔵庫が普及する前で、同社は「サウスランド」の店舗で冷却用の氷を売っていたのですが、従業員のジョニー・ジェファーソン・グリーンさんが、お客さんの要望に答えて、牛乳やパン、タバコなどの日用品を売り始めたことが、世界初のコンビニエンスストアの誕生につながりました。
グリーンさんが店舗で日用品を販売することに協力的だった創業取締役の一人であるジョー・C・トンプソン氏は、サウスランド・アイス・カンパニーを買収し、サウスランド・コーポレーションとして、ダラス地域のいくつかの店舗を管理するようになりました。
その後、サウスランドは「トーテンストア(Tote'm Stores)」と店名を変えて営業していましたが、1946年に、営業時間を午前7時から午後11時に延長したことで、店名を「セブンイレブン(7-ELEVEN)」に改名しました。ちなみに、日本にセブンイレブンができたのは1974年5月で、第1号店は豊洲店です。
1990年10月、多額の負債を抱えたサウスランド・コーポレーションは、連邦倒産法第11章の適用を申請します。
しかし1991年3月に、イトーヨーカ堂と子会社のセブンイレブン・ジャパンが現地法人IYGホールディングス社を設立し、同社を介して4億3千万ドルでサウスランドの株式の約7割を取得し、サウスランドを破産の危機から救いました。
1999年、サウスランド・コーポレーションは、セブンイレブン以外の事業を売却し、社名を「セブンイレブン・インク(7-Eleven, Inc.)」に変更。2005年11月、セブンイレブン・ジャパンは、米セブンイレブン・インクを買収して、完全子会社化しました。
同チェーンは、セブンイレブン・ジャパンを通じて、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが所有しています。
ガソリンスタンドに併設されたコンビニがセブンイレブンに
セブン&アイ・ホールディングスは21年、コンビニを併設したアメリカのガソリンスタンドチェーン「スピードウェイ」を巨額の2兆円超で買収しました。セブンイレブン市場最大の買収です。スピードウェイの約3,800店舗が加わり、北米のセブンイレブン店舗数は約14,000店舗に増加しました。
うちの近所にもスピードウェイがあるのですが、以前、UberEatsでスピードウェイからお菓子や飲み物を注文した時に、セブンイレブンの紙袋に入ってきたので不思議に思っていましたが、これで納得。でもまさか、ニューヨーク郊外の住宅地にあるガソリンスタンドの親会社が日本のセブンイレブンの会社だなんて思いもしませんでした。
改めてスピードウェイに行ってみましたが、7-ELEVENの文字はどこにも見当たりません。でも、セブンイレブンのソーダファウンテン「BIG GULP」が置いてある上に、よく見るとセブンイレブンのパッケージに入ったチップスやホットフードが売っていました。
アメリカのセブンイレブンで、日本の卵サンドやおにぎりが買えるように
ところで、セブン&アイ・ホールディングスが今年2月、アメリカのセブンイレブンの店舗でも、日本で売っているようなふわふわのパンを使った卵サンドやおにぎり、味噌ラーメン、鶏肉照り焼き丼などの販売を始めると発表しました。
電気自動車の普及によりガソリンの売り上げの低下が見込まれることや喫煙率の低下によるタバコの売り上げの減少を受け、ガソリンとタバコに依存したビジネスモデルから脱却し、新鮮な食品に力を入れるという方針に変ったようです。現在、売り上げに占める食品の割合は24%ですが、これを3分の1に引き上げることが目標だそう。
アメリカのセブンイレブンで、日本の店舗にあるような食べ物が買えるなら、アメリカ在住の日本人や日本に旅して日本のコンビニの大ファンになったアメリカ人は大喜びすることでしょう。ただ、いつから、どの店舗で導入されるのかは不明です。
日本の味を探しに、マンハッタンのセブンイレブンに行ってみた
カリフォルニア州のセブンイレブンではすでに、ふわふわの卵サンドを売っていると聞いたので、私もさっそくマンハッタンのセブンイレブンに行ってみました。
先ずは、33丁目とマディソン・アベニューの角にあるセブンイレブン。ケースに詰められた飲み物のボトルが無造作に積み上げられ床に置かれていたりして、店舗自体は以前のセブンイレブンとあまり変わっていないようです。
サンドイッチ売り場で、ふわふわの卵サンドっぽいものを見つけました。商品目は、「Simply Egg Salad Sandwich」。「軽く味付けしたゆで卵を低脂肪マヨネーズとディジョンマスタードであえて、ふわふわのミルクパンで挟んである」と書いてあります。
しかし、パンの耳はついているし、日本のものとはちょっと違うようです。値段は$6.49と、日本の倍以上します。
ホットフードのコーナーには、色々な種類のチキンウイングなどが売っていましたが、日本の食べ物らしきものは、まだないようです。
セブンイレブン:マンハッタン33丁目 マディソン・アベニュー
住所:171 Madison Ave. (33rd St), New York
営業時間:24時間営業
次に、6アベニューの30丁目と31丁目の間のセブンイレブンに行ってみましたが、こちらも同じで日本のコンビニっぽい商品は、卵サンドだけ。
こちらのお店にも色々な種類のチキンウイングがありましたが、まだおにぎりや鳥照り焼き丼などは置いていませんでした。
セブンイレブン:マンハッタン 30-31丁目 6アベニュー
住所:866 6th Ave. (30 & 31 Sts), New York
24時間営業
日本のコンビニメニューは、今後、徐々に取り入れられるのでしょうが、日本人住人の多い地域や観光地などに限られるのかもしれません。
住人のほとんどが白人であるウエストチェスター郡の、それもユダヤ人が多いうちの近所の「スピードウェイ」では、あまり期待できないかもしれません。
文・写真・ナツコ・H/提供元・たびこふれ
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