3. ※ネタバレあり※「嘘のツアー」で浅草観光!
※注意※
実際のツアー内容を紹介しますので、ネタバレが多数含まれます。ネタバレなしで体験したい方はご注意ください! また本章ではツアー中の嘘エピソードも本当のようにそのまま記載している部分があります。嘘か実かはぜひツアーでお確かめください!
いよいよ「噓のツアー」当日。浅草警察署 花川戸交番前の広場にある、大きな木の下に行ってみると、おひとり様からお友だち連れ、ご夫婦など、さまざまな参加者が集まっていました。
ツアーの前にイヤホンガイドを受け取ります。「嘘」を主軸にするツアーなだけあって、「肝心のトークが浅草の人混みで聞こえなかったらどうしよう」と思っていたのですが、杞憂でしたね! ツアー中は片耳にイヤホンガイドをつけるので、ガイドの松澤さんによる嘘ははっきりクリアに聞こえました。
続いて参加者も一人ひとり自己紹介します......が、普通の自己紹介ではありません! 「嘘の名前」での自己紹介です。「あ、これ、私たちも嘘をつくツアーなんだ」と自覚した瞬間でした。
初めましての人たちが、みんなニコニコしながら偽名を伝えていきます。なんとも異様な光景ですが、本名での自己紹介だったら、こんなにもフレンドリーな空気にならなかったかも......! 「嘘の渦」にざぶんと飲み込まれたような不思議な感覚です。私たちもう共犯者ですね......。
そして、「噓のツアーの概要をペライチにまとめましたので、先にお配りしますね〜」と配られたのは、巨大なA2サイズの紙! いやいや、たしかに「ペライチ」ではあるかもしれないけれど......と、参加者はざわざわ。もう完全に松澤さんのペースです。
松澤さんによると、浅草は来るたびにランダム生成される街とのこと。判断基準は浅草で有名な金のオブジェで、この日は「パターン152の浅草」でした。オブジェが自由の女神になっているときは、階段や坂が多くて歩きにくいんだとか。「たまたま」この日が金のオブジェで、ラッキーだったなあ。
交番前から雷門の方面へ歩く道中、足元にも嘘が紛れています。電柱に付けられた謎のチェーンロック。だれが何のために付けたか分からないこの鍵は、実はダークウェブの入口なんだそうです! 危険なので早めに退散しましょう。
雷門の前では、浅草を舞台にした大人気推理小説「失踪前夜」の文庫本をみんなで回し読みしました。中身が真っ白のように見えますが、特殊な印刷がされていて、心が綺麗な人にだけ読めるのだそう。あなたは読めますか?
参加者からは、
「この本読んだことあります!」
「う~ん、途中までしか読めないですね」
「逆さにすれば読めます」
(3秒ほど読んで)「感動しました!!」
など、バラエティー豊かな感想が挙がりました。みなさんもうノリノリです!
すでにかなり「参加型」なツアーですが、このツアー全体を通した「全員参加の嘘」が1つあります。
それが「落とし士」による「落とし」のアートを探すこと。道端で見つけた落し物は、落とし士による作品なのだそうです。各々が作品を見つけて写真を撮り、タイトルを考えてツアーの最後に発表となります。
ツアー前半で作品探しというミッションが提示されたぶん、街の隅々まで気にしながら歩くことができました。
ツアー一行は続いて、ディープスポットとして有名な浅草地下街の「浅草ニュー小江戸」という焼きそば屋さんへ立ち寄ります。
メニュー表には「天才焼きそば」に「天才サブスク」の文字。
「これは絶対嘘でしょ〜」と参加者は盛り上がります。(......が、天才焼きそばも天才サブスクも本当だったことが最後の解説で明かされて驚きました。)
「浅草ニュー小江戸」では店長さんも「噓のツアー」に協力しており、他のお客さんへの接客や調理の合間に、アドリブで軽快な嘘をついてくれます。
「お店のオープンは今日です。開業準備には時間がかかって、僕で8代目なんですよ~」
とのこと。なんと、先祖代々から準備してきた焼きそば屋さんのオープン初日でした。
こちらは浅草六区通りの芸人看板のひとつ、「予約済」の看板。
だれが、どんな理由で予約したのか、クイズが開催されました。
さっそく「照れ屋のビートたけしが、『死んでから飾ってくれ』と言ったから」という回答が挙がります。しかし......惜しくも不正解(本当は正解です)!
そのほか、「『歌舞伎町の女王』を歌った椎名林檎が浅草に拠点を移すため」などの回答が挙がりましたが、今回は「インスタを始める参加者の母がQRコードを載せて宣伝するため」が正解となりました!
真実を押しのけて、不正解が正解になる......「噓のツアー」は本当に不思議な空間です。
なお、不正解でも正解でも、クイズに参加したら特製ステッカーがもらえるので、どんどん参加してみましょう。
また、「噓のツアー」では「食べる噓」も登場します。
こちらは「悪魔フラウロスの砕きクッキー」です。
元々浅草には「鬼菓子」という大きな鬼のせんべいを食べて厄払いする文化があり、そこから菓子職人が着想を得て作ったのがこのクッキー。全部食べきれば福がありますが、食べきらなければ呪いが2倍になります。
しっかり砕いて、参加者みんなで完食しました!
しっとりとしたソフトクッキーは、「噓のツアー」のために焼き菓子専門店で本当に製造されているんだそうです。手が込んでいる......。
続いて一行は、「浅草六区通り」に向かいます。実はここ、数字の「6」にあふれすぎた通りなのです。
"ロック"座から始まり、ネットカフェの受付は"6階"、スシ"ロー"、ユニク"ロ"、極めつきは"六"角形のタイルでできた道路の舗装まで......。見れば見るほど、全部「それっぽく」見えてきてゾクッとします。都市伝説ってこうやってできるんだろうな......。
道路がオレンジ色のオレンジ通り。「オレンテくんというゆるキャラがいる」と聞いて、「またまた、嘘でしょう」と参加者同士クスッと笑います。
......いました。
「嘘だろう」とタカを括っていたことのほうが、よっぽど本当だったりして、嘘と真実の境界線がどんどんぼんやりとしてきます。
集合場所だった花川戸交番前の広場が見えてきました! いよいよゴールです。
中心にある木は、「Androidの木の絵文字にそっくりだと世界中で話題」とツアーで紹介していましたが、最近伐採され、似つかない形になってしまったのだそうです。
「絵文字にそっくり」の部分は本来真実だったはずなのに、嘘へと変わってしまいました。ロングランのツアーだからこそ、今後も変化していくことがありそうです。
集合場所に戻ってきました。ここからは参加者が見つけた「落とし士」の作品を発表していきます。
この日初めて出会った大人たちが落とし物の写真を見せあって、覗き込んで、笑い合う......。冷静に考えたらすごすぎることです。90分前にはこんなふうになれるなんて、思ってもみませんでした。「噓のツアー」じゃなかったらこうならなかっただろうと、強く感じます。
最後にお土産としてもらったのが、浅草のご当地コンビニ「24+(トゥーフォープラス)」のレジ袋。「24+」は推理小説「失踪前夜」にも登場するコンビニです。レジ袋のなかには、一つひとつ、松澤さんのおばあさんのお買い物メモが入っています。私のレジ袋には「鬼菓子 あるだけ」というメモが入っていました。
「24+」も「失踪前夜」も「鬼菓子」も、さっき初めて聞いた固有名詞なはずなのに、登場すれば「伏線回収だ!」とワクワクするほど、愛着が湧いています。
最後に「嘘の解説」シートを受け取って「噓のツアー」は終了! 90分間しか一緒にいなかったのに、参加者のみなさんとグッと仲良くなれたような気がします。そういえば私たち、本名も知らないのに......。本当に不思議な、夢みたいな時間でした。
4. まだまだある「マニアなツアー」
「マニアなツアー」には、「噓のツアー」のほかにも独特な視点や切り口のマニアックなツアーがたくさんあります。運行予定のツアーは公式noteに掲載されているので、興味のあるツアーへ参加してみましょう!
【ツアーの例】
- リアル異変探しゲーム「嘘の銭湯」
- 手袋が落ちてたらめちゃくちゃ解説する「片手袋ツアー」ハードモード
- 変な飲み物を飲む会
- ドレッシングをかける会