AI導入のメリデメ

――AI面接を導入することで、考え得るメリットとデメリットをお教えください。

「メリットは、なるべく多くの人に自由形式の質問を広めたいということだと思います。これまで人間が行ってきたような一次面接をAIに置き換えるという趣旨であれば、AIはまだ不十分です。表情や受け答えの良し悪しから、その人の個性や特性を判断するといったことは、現状では先走りすぎといえます。候補者たちに対してエントリーシートに応じた質問をし、それに対する回答内容を審査するといったことであれば、ある程度は公平性が保たれるかと思います。ESの書き方や情報にもむらがありますので、その補完機能として働くということです。

 デメリットとしては、もし面接が音声で行うとすると、AIのセンシングは万能ではなく、AIに通りやすい声や口調、言い回しなどには若干の偏りがあります。たとえば、声の抑揚や間の取り方に対してが、AIの認識率が低かった場合、AIとのコミュニケーション・ロスが発生する恐れがあります。人間が柔軟に対応してきた部分で、AIが対応できないというデメリットは十分考えられるので、エントリーされる方に対して、話し方や声の強さなど、諸注意を行うことが必要とされます。或いは、AI面接の最初に認識率をテストするような時間を入れる必要がありますね」(同)

――企業側のメリット・デメリットを伺いましたが、応募者側のメリット・デメリットはどんなことが考えられますか。

「応募側としては、人間が行うより多くの面接数を設定されるとすると、ESよりは企業側に自分をアピールする機会が増加する、というメリットがあるかと思います。面接は人間にしてほしいという心情がある一方で、面接官との相性のようなことはなくなり、公平感はあるかと思います」(同)

――そうすると、AIの導入は企業側のメリットが大きい施策といえますね。

「企業としても、AIでふるいにかけるというよりも、優秀な人材を逃したくないという心理かもしれません。仮にこれまで1万人の応募に対し1000人を人間が1次面接してきたとした場合、今後はAIにすることで2000人の1次面接を実施できるようになり、より“当たり人材”を拾える可能性が高まるのではないでしょうか。

 おそらく、従来行われてきたES(エントリーシート)やSPI(適性検査)、ストレス耐性テストなどに加え、AI面接が加わるという感じではないでしょうか」(同)

 ローソンはこれまで、値引きを行うシステムや発注システム、アバターによる接客など、積極的にAIを活用した施策を取り入れてきた。今度はAIによる採用面接の1次選考を導入し、AIを活用した省力化・効率化をさらに推進することになる。各業界で人手不足が深刻化するなか、AIはどこまで人間の仕事を代替することができるのだろうか。

(文=Business Journal編集部、協力=三宅陽一郎/立教大学大学院人工知能科学研究科特任教授)

提供元・Business Journal

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