地球が球体であることを証明する証拠は数多く存在するにもかかわらず、「地球平面説」は、根強く信じ続ける人が後を絶たない陰謀論の一つである。地球平面説信者たちは、科学者たちによって嘘を吹き込まれていると主張し、自分たちの「理論」の証拠を見つけるために、しばしば極端な行動に出ることが知られている。

 有名な例として、故ボブ・ノデル氏のケースが挙げられる。彼は自身の信念の証拠を見つけるため、なんと2万ドル(現在のレートで約280万円)もの大金を投じて実験を行ったのだ。

 彼の試みは、ドキュメンタリー番組「ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-」の中で紹介されている。

地球平面説を検証する実験の意外な結果

 2019年2月にNetflixで公開された「ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-」は、マーク・サージェント氏をはじめとする著名な地球平面説信者たちに焦点を当て、彼らの主張を紹介している。

 番組には、地球平面説とその持続性についての意見を述べるため、複数の科学者や天体物理学者も出演している。ノデル氏は、番組の中で自説を主張するだけでなく、過去数世紀にわたる科学的な共通認識が間違っていることを証明しようと決意。

 一体どのような実験だったのだろうか。ノデル氏は、地球が平面であるという自説を証明するため、レーザージャイロスコープを使った大がかりな実験装置を作成した。この装置は数万ドルもの費用を要したという。

地球平面説支持者、地球が平面だと証明するため巨額を投じて実験、逆に球体であることを証明してしまう
(画像=画像は「LADbible / Netflix」より,『TOCANA』より 引用)

 実験では、地面から等距離にある2つの穴を通してカメラで撮影を行い、反対側に立っている人が懐中電灯でカメラを照らすという方法がとられた。ノデル氏は、もしカメラで光を確認することができ、フェンスの穴と懐中電灯がすべて同じ高さにあれば、地球が平面であることの決定的な証拠になると主張した。

 しかし、実験はノデル氏の計画通りには進まなかった。カメラには光が全く映し出されず、ノデル氏は「これは興味深い」と呟くばかりだった。

 彼は後にYouTubeの動画でこの結果について、「ジャイロスコープのスイッチを入れると、1時間に15度のずれが生じていることがわかった。明らかに我々はこの結果に戸惑った」と説明している。

 そして、この結果は「ある種の問題だ」と認めながらも、「我々は当然のことながら、この結果を受け入れるつもりはなく、地球の動きを実際に記録していることを反証する方法を探し始めた」と続けている。

 ノデル氏は2023年4月6日、62歳でこの世を去った。地球平面説を証明しようとして、逆に球体であることを証明してしまったノデル氏。皮肉な結果だが、科学の力を改めて示す結果となったと言えるだろう。

文=青山蒼

提供元・TOCANA

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