結局、投資の本質は元本がすべてである。1億円と100万円の資金力の差、月収30万円と300万円の入金力の差はどうやっても埋めようがない。投資に充てる余裕ができるのは、収入をしっかり増やしてから始めるのでも十分である。間違っても20代にしかできないチャンスを棒に振ってでも得るべき価値などない。

お金の使い方が下手になる

若いうちに資産運用を頑張りすぎる問題は、極端なケチになりがちだからだ。

若いうちから投資を始めることは長期的に見て利益をもたらす事実がある。過去のデータでいえば、1秒でも早く指数株投資をすれば、統計的に15年前後でテールリスク時でも絶対に元本割れのない安全な世界にいける。だから早く投資することには大きな意義がある。

そうなると将来のリターンを重視して、今すぐ1円でも多く投資に回そうとする姿勢こそが最適解となる。投資家としては確かに正しい。しかし、それが人生を楽しむ戦略として適切かどうかは別問題だ。若い頃は、若さの価値がわからないので、ただでさえ漫然と過ごしてしまいがちだ。資産運用にハマりすぎれば、将来不安を消すための手段として若さを消費してでも老後に備えるようになる。しかし、本当に価値のあるお金の使い方とは、若いうちから思い出や経験の積立への出費であるべきなのだ。

自分自身、結婚式やハネムーン、外食にかなりのお金を使ってきた。もしその資金を全て資産運用に回していたら、今頃かなりの額に膨らんでいたかもしれない。しかし、自分の選択を後悔したことは一度もない。これらの経験はお金で買えない価値があるからだ。

仮に若い頃から資産運用をして大成功、今の資産が10倍になったと仮定しても人生は何も変わらない。さらに年を取ればお金を使う力もなくなるので、頑張って蓄財してもどうせ全部は使わない。このことはDIE WITH ZEROという本で話題になったとおりだ。

若い時は投資よりも本業を一生懸命に頑張り、若い頃にしかできない経験を楽しむべきだ。