マウスでの実験成功:安全性と今後の展望

 初期の実験で、タートラジンが鶏の胸肉の切り身を透明にすることが示された後、研究チームは実験用マウスを用いた実験に進んだ。彼らは、タートラジン溶液をマウスの頭皮に塗布し、顕微鏡で観察した。すると、溶液が浸透すると、マウスの頭蓋骨の表面を流れる血管がマイクロメートル(0.001ミリメートル)レベルの解像度で見えるようになった。別の実験では、マウスの腹部にタートラジン溶液を塗布した。数分以内に、肝臓、小腸、膀胱などの臓器がはっきりと確認できたのだ。さらに、腸内の筋肉の収縮や、呼吸や心拍による腹部のわずかな動きも見ることができた。

 この透明化は、マウスの皮膚を水で洗い流し、食用色素溶液を取り除くことで元に戻すことができた。体内へ吸収された余分なタートラジンは、塗布後48時間以内にマウスの尿から排出された。この処置による短期的には「最小限の炎症」が見られたものの、体重の変化や血液検査の結果から、動物の健康への長期的な影響は見られなかった。

 この新しい技術はまだ人間では試されてはいない。人間の皮膚はマウスの約4倍の厚さがあり、タートラジンが皮膚の最も深い層まで浸透するのが難しいと考えられる。しかし、今後の研究で、この色素が人間にも有効で安全であることが示されれば、医療現場で役立つツールになる可能性があると研究チームは述べている。

 医療分野における新たな可能性を示唆する今回の発見は、今後の研究の進展が期待される。将来、皮膚が透明になった人間の姿を目にすることがあるのかもしれない。

文=深森慎太郎

提供元・TOCANA

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