セブン&アイ・ホールディングスは6日、カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールに対し、同社による買収提案に賛同できないと回答した。提示された買収額が低く、「企業価値を著しく過小評価している」との書簡を送った。セブン&アイ関係者は「今後もボールの投げ合いは続く」とみており、国内コンビニ最大手を巡る巨額買収劇は長期化しそうだ。

 セブン&アイは5日の取締役会で、「株主などの最善の利益に資する提案ではない」と、全会一致で結論付けた。理由の一つが提示額。1株14.86ドルで全株を現金で取得する内容だった。提案が届いたとみられる7月下旬の為替レートで換算すると総額6兆円規模。アジアや北米などの20カ国・地域で約8万6000店舗を展開するセブン&アイの目には、企業価値に見合わないと映った。

 セブン&アイは書簡で、両社がコンビニを展開している米国の独占禁止法上の問題についても懸念を表明した。2023年時点で米コンビニ市場の店舗数シェアは、首位がセブン&アイ(8.5%)、2位がアリマンタシォン(3.8%)で、単純合算すると10%超を占める。提案には規制をクリアする手だてが示されておらず、提示額が今後大幅に引き上げられたとしても、「クロージング(手続き完了)の確実性が担保されない」と指摘した。

 一方、アリマンタシォン幹部は書簡が送られる前の5日、決算発表に合わせた電話会見で「資金を調達して、統合を完成させる自信がある」と表明。相乗効果で成長とサービス拡充につながると訴えた。

 そもそも、今回は法的拘束力のない「初期段階」の提案にすぎず、セブン&アイ幹部は「この書簡をもって買収提案を取り下げることはないだろう。当然、複数のシナリオを持っているはずだ」と警戒する。その上で、「次はどのタイミングで投げ返してくるのか注目だ」と語った。 (了)
(記事提供元=時事通信社)

提供元・Business Journal

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