完成品として販売されるモデルカーやミニカー、そしてユーザーが自ら組み立てるプラモデル、これらは実車をモチーフにする場合、本来ならば“必ず”実車の製造元である自動車メーカー(以下版元と記述)にお伺いをたてなくてはならない。
さらに言えばレースカーなど、スポンサーのロゴなどがあしらわれている場合は、そのスポンサーにもお伺いをたてる必要がある。すでに存在しない版元であっても、その商標の所持者が居たりと、ひと筋縄で行かないこともあり、モデルの製品開発以上に骨が折れる作業であることが多い。
加えてモチーフとなる実車の版元にお伺いをたてた場合、往々にして発生するのが著作権に対するライセンス料である。稀に自社の宣伝になるという理由でライセンス料を採らないという太っ腹な版元も存在するというが、基本的には商品の売り上げや売価に対して何パーセントといった契約を結ぶ必要が生じる。具体的なシステムや金額については詳らかに出来ないが、版元によって、あるいは同じ版元であっても車種によってもそのパーセンテージは異なることがあるという。
しかしながら、日本のモデルカーメーカーではまず考えられないことだが、海外メーカーの中には非常に高額となるライセンス契約を行わずに、勝手にモデル化して販売しているケースもあり、”正直者が馬鹿を見ない”ためにも、購入しようと思っているモデルカーのパッケージに版元のOfficial licensed product(正式製品化許可商品)の文字を探すことをお願いしたい。
そんな仕組みを知れば、キラーコンテンツ間違いなしのフェラーリやランボルギーニのモデルカーが、限られたモデルカーメーカーからしか(正式製品化許可商品として)、リリースされない理由がおわかりいただけるはずだ。だからモデルカーメーカーとしても好き勝手に売れそうな車種を製品化して販売できるというわけではないのである。
と、前置きが非常に長くなってしまったが、日本が世界に誇るハイエンド・モデルカーメーカー「メイクアップ」が、かの『マクラーレン・オートモーティブ』とライセンス契約を結んだというニュースが飛び込んできた。現在メイクアップでは海外の版元とは、ランボルギーニやポルシェとライセンス契約を結び、厳しい版元監修を経て、正式製品化許可商品のお墨付きを得た商品展開を行っているが、今回のマクラーレン・オートモーティブとの契約によってさらに華やかラインアップの増強が期待できるというわけだ。
その第1弾としては、数々の名グランプリマシーンを手がけてきた名匠、ゴードン・マレーが目指した理想のロードカーであり、GTレースカーとして「ル・マン24時間」をはじめとする数多のレースで勝利したマクラーレン・オートモーティブ(旧マクラーレン・カーズ)初の市販車「F1 (エフワン)」のリリースが予定されている。
モデルカーファンならば、F1をはじめ、近現代の「P1」など、速くも艶やかなスーパーカーたちが続々とメイクアップクオリティでモデル化されると想像するだけでワクワクしてくることだろう。
文・鵜飼誠/提供元・CARSMEET WEB
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