ABCクッキングスタジオが、中国で展開している全12店舗を一斉閉店し、清算手続きに入ったことが物議を醸している。会費や授業料等、高額な費用を納めていた会員たちからは返金を求める声が噴出している。同スタジオは返金に応じる姿勢を見せているが、全額が返金されるかは不透明なうえ、清算発表の前日まで会員を募集していたことなどから、企業倫理を問う声も多い。

 1985年に静岡で調理器の販売店を併設した料理教室として始まったABCクッキングスタジオは、今や世界に約170万人の会員数を誇るほどに急成長。アジアで130店舗以上、中国でも一時20店舗以上を展開していた。だが、中国の経済成長の鈍化とともに店舗は減っており、直近では12店舗が残っていたが、7月31日付で全店を一斉に閉鎖し、清算手続きに入ったと発表。

 会員たちからは、SNS上を中心に会費の返還を求める声が噴出。なかには数十万円に上る授業料を支払った人もいると報じられている。突然の閉鎖に困惑する客がいるのは推測に難くないが、問題は清算発表の直前まで会員を募集していたことだ。一部の店舗では清算手続きに入った7月31日まで募集を行っていたとみられている。

 ABCは公式声明で、「経済環境の変化により営業継続が困難になった」ことが要因と説明し、中国からの撤退に理解を求めているが、あまりにも不誠実な姿勢に批判の声が相次いでいる。

 返金を求める声が相次いでいるが、ABCは会員に対して、専用のQRコードを通じて返金申請を行うよう呼びかけている。とはいえ、専門家たちは、全額の返還は難しいとの見方を示している。実際に、会員が「会社側弁護士から全額返金はおそらく難しいと言われた」と明かしているとも報じられている。

 Business Journal編集部はABCに対して、事実確認および会員たちへの対応など今後の方針について問い合わせている。返答があり次第、追記する。

 また、ABCは日本国内でおよそ100店舗を展開しているが、国内店舗には影響がないとみられる。とはいえ、事前説明もせずに突然の店舗閉鎖や、清算する直前まで会員募集を行っていたことなど、同社に対する見方は厳しくなることも予想される。誠意ある対応と、全世界の会員に向けた説明が欠かせないのではないだろうか。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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