加害者として通報を怠れば「ひき逃げ」になる?

自分が事故を起こしてしまった場合には、被害者側に怪我があるという前提のもと、救護措置や通報を行うことがドライバーとしての責務です。たとえ被害者側が「修理費だけもらえればいい」といって済ませていても、あとから体の痛みを訴え、治療費や通院費などが必要となるケースも考えられます。

通報を怠り、その後に被害者の負傷が発覚した場合、必要になるのは金銭的な補償だけではありません。状況によっては「ひき逃げ」と見なされる可能性があるのです。

先の警察署関係者は、「道路交通法においては事故を起こしたドライバーの『報告義務』『危険防止義務』『救護義務』が定められ、人身事故においてこれらを怠った場合には『ひき逃げ』として厳しい処分が科されます」と話します。

ひき逃げに対する法定刑は「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」であり、行政処分として違反点数「35点」が科されます。さらに事故の原因となった違反に対する罰則もあり、社会的・経済的に非常に大きなダメージを受けることになります。

被害者から「大丈夫」と聞いても通報を

自転車や歩行者と接触した際、その場で被害者の状況を確認し、「大丈夫」という言葉を聞いてその場をあとにした場合にも「ひき逃げ」になるのでしょうか。

警察署関係者は、「実際にどのような違反が適用されるかは状況による」としたうえで、「たとえば自転車にぶつかり、相手が混乱した状態のまま『大丈夫』といわれて立ち去ったような場合には、救護義務違反にあたる可能性は十分にあります」と話します。

被害者は衝突のパニックから、反射的に「大丈夫」という言葉を発することが珍しくありません。これは当然「負傷がない」ことを意味するものではありませんので、被害者の言葉にかかわらず警察に通報する必要があります。

なお警察署関係者によれば、たとえば自転車側が飛び出してきて自車に接触し、相手が逃げるようにその場をあとにした場合であっても、通報を怠ればこちら側が「ひき逃げ」として扱われる可能性もあるとのことです。