ところが、スペイン国境から僅か30キロ離れたポルトガル県のエルバス市に住居を構え、そこに住んでいるかのようにしてスペインでの所得税の申告をしていない。そうかと言って、年金はスペインで受給できるように社会保障費は納めるという常識では考えられないモラルに欠けることをやって来ている。

違法行為を追及して行く組織マノス・リンピアスはダビット・サンチェス氏が脱税と資金横領を犯して来たとして提訴。それが法廷で受理され審査の結果、6月7日、バダホスの法廷にて公金横領、不正行為、縁故主義による汚職の罪で彼は起訴された。

貰っている報酬の割に多額の資産を持っているサンチェス首相の弟

更に理解に苦しむのは、県庁が彼に支払う年間の報酬は5万5000ユーロなのに、銀行BBVAの140万ユーロに相当する株を所有している。その上、マドリード、ロシアのサンペテクブルグとポルトガルのエルバスと3軒の家を持ち、クリプトコイン6万3880ユーロ、銀行預金11万4073ユーロを所有しているというのが明らかにされている。僅か、5万5000ユーロの報酬にも拘らず、これだけの資産を持つことなど不可能である。

しかも、税務署はこの不審が報道メディアで取り上げられるまで、いかなる調査もしていないのだ。その理由は明白。彼が首相の弟であるからだ。

しかし、巨額の資産はどこから手に入れたのかというのが疑問視されている。それに関連していると見られているのが次の出来事である。

スペインで第2の航空会社エアーエウロパとその親会社グロバリアと系列航空会社アポリスに総額11億ユーロの救援金を政府は提供した。それが申請から支給するまで短期間で行われた。この迅速な支援金の給与にサンチェス首相の夫人が関与していたというのは明白になっている。

そこに仲介人が一人存在している。ビクトル・アルダマという人物だ。この支援金支給の仲介をしたことで支給額の20%を手数料としてもらうことになっていた。彼はそれ以外にスペイン政府がコロナ禍でマスクの輸入で高額の資金を投入したが、その件も彼は仲介人として介入していた。しかも、彼はサンチェス首相の弟がポルトガルに構えている住居と同じ都市に彼の会社が所在していることになっている。