現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、うえまつそうの新連載「島流し奇譚」。この連載では現役教師ならではの他にはない実話怪談を紹介する。第十回目となる今回は、「カラス」にまつわる恐怖体験。

ヒトの声真似をする“カラス”の言葉は死の宣告なのか…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
(画像=『TOCANA』より 引用)

 人間の言葉を真似する鳥がいるのはご存知だろうか?

 例えば九官鳥やオウム、インコなども声真似をすると知られている。

 しかしあまり知られてはいないが、実はカラスも真似をすると言われている。これは私がベースを弾いているバンドのボーカル、いまも沖縄県石垣島に住んでいる大ちゃんから聞かせていただいたお話。

 数年前、大ちゃんの母方のおばあさんが89歳で亡くなった。生前はずっと元気でいつもニコニコしている優しいおばあさん、亡くなる直前まで特に体を壊すことなく、認知症になることもなくいわゆるピンピンコロリの大往生だったそうな。そのおばあさんが亡くなる2日前、大ちゃんはおばあさんが入院していた病院に家族親戚でお見舞いに行った。

 その時も家族が「孫の◯◯だよわかる?」「息子の◯◯だよわかる?」と聞くと「うんわかるわかる、ちゃんと覚えてるに決まっている」と全員の顔も名前もハッキリと覚えていたという。そのあとにおばあさんが「あら、今日は珍しい人が来てるね。私の兄さんが来てるね、この匂いでわかるよ、やぁ久しぶりだねぇ」と言ったそうだ。でもその兄さん、去年病気で亡くなってるはずなんだが……

「兄さんまで来て嬉しいねぇ今日は勢揃いだ」そう言った2日後に、おばあさん亡くなったそうな。 その病室で大ちゃんがなんとなく、しかしハッキリ覚えていたことが”窓の外に大きなカラスがいたこと”だったという。

ヒトの声真似をする“カラス”の言葉は死の宣告なのか…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E、『TOCANA』より 引用)

 そのことをつい先日会った親戚のおばさんに話すと「ねぇ大ちゃん知ってる?カラスって喋るんだよ。しかも人の声真似するんだよ」と。そう言われ、大ちゃんもカラスが人の声真似をすることを初めて聞いたのだという。

 そのかずちゃんと言う親戚のおばさんだが、つい最近夢の中に亡くなった旦那さんが出てきたそうだ。

「かずちゃん、早く行くよ!いまから行くあっちのほうが楽しいから。早く荷物まとめておいでよ!」

 しかも目の前には綺麗で穏やかな川が流れていて、そこには木でできた小さな船があり、その船に早く乗れ乗れと急かして来たのだ。「わかった!ちょっと待ってて!」と夢の中で慌てて荷物をまとめていたのだが、翌日踊りの発表会があることをふと思い出して「ごめんごめん私明日踊りの発表会があるから先に行ってて!発表会終わったらすぐ行くから」と言ったところで、フッと気がつくと布団の中で目が覚めたのだという。

 もう朝になっており、そろそろ起きなきゃと布団から出ると、枕元には覚えのない荷造りをした荷物が置かれていた。そんなことがあったそうだ。

「大ちゃん、これおばあちゃんの時のお兄さんみたいに、あの世へ連れていくために旦那が夢に出て来たのかな?あのまま船に乗って行ってたらわたし死んでたのかな」そう話をしてくれたそうだが、話には続きがある。

 おばさんが亡くなった旦那の夢を見て朝起きると枕元に荷造りした荷物があった。不思議なことではあるが、特に気にせず支度をして踊りの発表会に行こうとガチャっと玄関を出たら、目の前に大きなカラスが止まってこっちを見ていたと……

 そのとき、フラッシュバックのようにおばさんは昔のことを思い出したという。

 おばさんが小学生のころ、一番仲の良かった親友のA子が海で溺れて亡くなってしまった。悲しみでいっぱいのまま1週間ほどがたったある日、自宅にいるとどこからともなく「かずちゃん早くおいで!こっちは楽しいよ!早く早く!」と、亡くなったA子の声が聞こえてきたのだ。 家中を必死に探したが、どこにもA子の姿はない。諦めかけた時、玄関を開けた先に大きな大きなカラスがいて「かずちゃん、行こう!楽しいよ!早く早く!」そのカラスが親友の声を真似て喋っていたという。

ヒトの声真似をする“カラス”の言葉は死の宣告なのか…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
(画像=EnriqueによるPixabayからの画像,『TOCANA』より 引用)

 その時と同じように玄関の前に大きなカラスがいて、亡くなった旦那の声を真似てこう言ってきた。「かずちゃん行こう!早く!こっちは楽しいよ!」と。おばさんはカラスを追い払わないと、あの世へ連れていかれてしまうと思い、近くにあるほうきや木の枝でカラスを追い払おうとした。

 するとそのカラスは、亡くなった旦那と同じ大きな声で「アハハハハハハ…!」と笑いながら飛んでいってしまったという。とにかくものすごく怖い経験だったそうだ。

 そんな話を大ちゃんに語ったおばさん、最後にこう言って来たそうだ。

「大ちゃんわかった?カラスは喋るの。声真似をするの。…死人の声真似をね」

 そんな話を聞かせていただいた。

【ばけたん WARASHI うえまつそうVer発売中】

ヒトの声真似をする“カラス”の言葉は死の宣告なのか…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
(画像=『TOCANA』より 引用)

文=うえまつそう

提供元・TOCANA

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
航空機から撮影された「UFO動画」が公開される! “フェニックスの光”に似た奇妙な4つの発光体
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
ネッシーは巨大ウナギではない! 統計的調査結果から数学者が正体を予測
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?