新モデルDM250の価格は5万4800円。キングジムは「既存ユーザーの満足度アップ」だけでなく「新たなユーザー層の獲得」も図るとしている。これまでは、ライターや文筆業向けのニッチな製品だったポメラやBYOKだが、ターゲット層がやはり広がっているのだろうか。
英語圏で「distraction-free」という言葉が使われ始めたのは、ポメラ発売より前のようだ。マック端末用のアプリ「WriteRoom」は2006年リリースで、最初期の「distraction-free」執筆ツールの一つとされる。
2015年には、Mediumが「distraction-free」なデバイスを「最新テックトレンド」として取り上げた記事を公開。今回のBYOKのように、当時Kickstarterで大成功を収めたスマートタイプライター「Hemingwrite」を紹介している。
文豪ヘミングウェイの名をもじった同製品も“Distraction Free”が最大のアピールポイント。2014年12月にプロジェクトを開始したHemingwriteは20時間で200kの資金を獲得、最終的に1100人近い支援者から約34万ドル(5000万円)を調達した。ニッチではない「デジタルディストラクション」問題
上述のMedium記事にも「PC以下の性能しかない、dumbed-downされたワープロを使うなんて馬鹿げていると思う人もいる」とあるとおり、敢えて機能を制限した執筆デバイスはニッチな市場だった。
しかし、2010年代に入ってから多数の研究者がテクノロジーの使用とデジタルディストラクションに関する研究を実施。携帯電話での通知受信による注意コストや、教室でのデジタルディストラクション(授業に関係のない目的で生徒がデジタルデバイスを使用すること)などについて報告されている。
ライターや文筆業以外の層にとっても、今や「デジタルディストラクション」は他人ごとではない。企業としても、従業員個々人の努力に頼らずディストラクションの少ない集中できる職場環境を構築するメリットは大きいはずだ。