アメリカのシカゴ大学(UChicago)で行われた研究により、法律文章が難解な言い回しをしている理由が、結局は「権威を感じさせるため」であることが示されました。

法律文章の難しさは使われている専門用語だけでなく、途中に大きな文章の塊を幾つも内包する「構造的な読みにくさ」にも起因しています。

専門用語は文章の正確さにある程度役立ちますが「構造的な読みにくさ」は文章を分割すればすぐに解消できるはずです。

にもかかわらず、法律文章はいまだに「構造的な読みにくさ」から脱却できていません。

新たな研究ではその理由について調査されており、結局は「魔法の呪文詠唱」と同じ理由、つまり権威付けをして文章を「それっぽく」みせるためであることが明らかになりました。

今回はアニメやマンガに登場する呪文詠唱を例に出しつつ、研究をわかりやすく紹介したいと思います。

研究内容の詳細は2024年8月19日に『PNAS』にて「素人でさえも法律用語を使う(Even laypeople use legalese)」とのタイトルで掲載されました。

目次

  • 法律文章と呪文詠唱の意外な共通点
  • 法律文章が難しいのは「権威付け」を行うためだった

法律文章と呪文詠唱の意外な共通点

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法律文章が難しい理由、結局は魔法詠唱と同じ「それっぽさ」のためとバレてしまう/Credit:Canva

アニメやマンガでみられる呪文詠唱のシーンは、非常に心が躍ります。

ですがなにより人々の心を引き付けるのは、その言葉の格好良さです。

たとえば往年の人気アニメ「スレイヤーズ」では以下のような詠唱が行われます。

黄昏よりも暗きもの、血の流れより紅きもの、

時の流れに埋もれし偉大なる汝の名において、

我今ここに闇に誓わん、

我等の前に立ち塞がりし全ての愚かなるものに我と汝の力もて、

等しく滅びを与えんことを。

ドラグスレイブ!

また近年の人気作品「この素晴らしい世界に祝福を!」に登場する爆裂魔法では