労働だけで1億円稼ぐ人はかなり限られると思いますが、所得に応じた税負担のグラフを描くと概ね年収1億円を超えると実質的な税率が下がる(=税のブレンド効果が効き始める)とされ、更に収入が増えると税負担率がどんどん下がるようになっています。(私は「1億円の壁」とされるあの有名なグラフは本当に正しいのかと未だ疑問府です。もっと緩やかで転換点はもっと低い金額ではないかと思います。)極端な話、投資だけで飯を食うなら15%プラス住民税なのです。しかもいくら稼いでも同じ税率です。

石破さんはこれは不平等である、と考えるわけです。創業者やIPOで株式を売却して莫大なる売却益を上げ、富裕層になったケースは確かに多々ありますが、人数的には知れています。石破さんはそこにターゲットを当てているとは思えないのです。石破さんの怖いところは平等主義が強すぎて「一億総中流よ、再び」を目指しているのではないかという気がするのです。ここがハリスさんと重なるところ。ハリスさんは民主党ですが、石破さんは自民党。こうなると自民党も右から左まで「思想のデパート」のようなもので総理候補者が何人出ても構いませんが、この人は本当に自民党の人?という方には要注意マークをつけるべきです。

ところで株式投資に対する課税強化は正しいのでしょうか?カナダでも今年6月からキャピタルゲイン課税が強化されました。私の会計士から「ひろ、利益が出ているものは今売った方がいい」と助言を受けたのですが、会計士には「大丈夫。手持ち全ての銘柄で利益が出ているわけではないので利益を出した場合、損をしている銘柄を売却して相殺するから」と言っています。

株式投資は常に勝てるわけではないのです。勝率は案外低かったりして私が思う目安は6-7割ではないかと思います。つまり常に損との闘いでトータルするとこれだけ勝ち、という話です。そのコンセプトは資本市場にリスクを取りながら参加しているという意味です。国家が資本主義を支持する限りリスク応分の低めの税率適用は当たり前なのです。そうでないと誰もリスクをとる投資活動に参加しなくなるのです。それこそみんなで定期預金で満足するようになったらどうするのでしょうか?